スキレットで調理すると、どんなものでも美味しくなる。もともと美味しかったものは、さらに美味しくなる。半年ほど前に10 1/4インチ(以下10インチ)を使い始めてから、毎日のように実感していることです。
長らく使ってきた28cmサイズのフライパンが、いよいよ表面のコーティングが剥がれてきたので、スキレットに置き換えることにしました。
10インチとの比較
サイズや重さ、ハンドリングについて
購入したのは、12インチのもの。10インチと同じくLODGE(ロッジ)社製です。というか、12インチのスキレットって、LODGE以外には製造していないようなのです。
形状および見た目は、10インチとほぼ変わりありません。違うのは、当然のことながら、大きさと重さです。
【10インチ】 | 【12インチ】 | |
全 長 | 約42cm | 約45.5cm |
内 径 | 25.7cm | 29.9cm |
深 さ | 4.7cm | 5.2cm |
重 さ | 2.54kg(専用カバー1.83kg) | 3.6kg(専用カバー2.32kg) |
全長で3.5cm、内径で4cm強の違いですが、実物は数字以上の差を感じます。大人と子どもぐらい、存在感が別物のようです。
その差は、持てばはっきりと分かります。
12インチは、気軽に片手で扱えるような代物ではありません。片手だけだと、調理したものをお皿に移すのもしんどいです。女性の方なら、両手持ちは必須になる重量だと思います。
10インチはフライパン、12インチはテッパン
10インチだって、2.54kgもあるのだから、普通のフライパンに比べれば、はるかにヘビー級です。
専用カバー(ふた)を合わせると4kg超え。12インチ単体より重い。それでも、まだなんとか普通のフライパンのように扱うことはできます。けれども12インチは、一般家庭で使う調理器具の枠組みからは、一歩はみ出してしまっているような気がする。
別の言い方をすれば、10インチはフライパンのカテゴリーに属しているけれど、12インチは、もはやテッパン(鉄板) に分類されるような代物です。
5人前のパスタ(500g)だって、一度に作れる
ここまで12インチのネガティブな部分を強調してきましたが、使ってみると一転、その全てが長所に変わります。
1.4人分多く作れる
内径4cmの差が生み出す面積比は、約1.35倍。10インチで4人分の調理をしていたなら、12インチでは5.4人分まで対応可能という計算になります。
1.4人分多く作れるというのは、ずいぶん違いがあるもので、パスタなら500g放り込んでも、余裕でソースと絡め合わせることができます。10インチでは400gでも厳しく、今まで使ってきた28cmフライパンでも、これほどの量は調理できませんでした。
動かないから、両手で調理ができて楽チン
3.6kgの重量は、取扱いには苦労するけれど、コンロに乗せてしまえば問題ありません。逆に、重くてずれにくいことで、左手が自由に使えます。
写真のように、大量のパスタとソースを和えるような場合でも、左手に調理スプーン、右手にトングというように、二刀流で混ぜ返せます。軽いフライパンでは、勢い余って動いてしまうので、左手は柄をつかんでおかなければいけません。
端っこでも、熱ムラなく調理が可能
10インチよりも面積が約1.35倍ほどあるわけですが、蓄熱性能の高さは健在で、熱源から離れた周縁部であっても、温度の低下に悩まされることはありません。端っこでも、しっかりと食材に熱を入れることができます。
10インチ程度の大きさなら、一般的なフライパンでも、熱ムラによる影響は少ない。けれども12インチ(約30cm)クラスともなると、中央と端とでは、明らかに温度差が生まれていたので、このサイズにして、改めてスキレットの能力を知ることとなりました。
あとがき
くり返しになりますが、12インチのスキレットは、フライパンというよりは、据え置きの鉄板といった方がしっくりきます。お好み焼き屋やステーキ屋で使われているような、あの鉄板です。
振ったり、あおったりといった調理方法は不向きですが、コンロの上に固定し、肉厚の鋳鉄から伝わる熱で、じっくりと食材を調理するような使い方が適しています。
とは言っても、チャーハンや焼きそばが作れないわけではありません。むしろ美味しく作ることができます。広い面積と、蓄熱性の高さが効いているのでしょうね。米粒一つ一つがパラッパラッにほどけ、芯からふんわり。僕史上、最高の出来になりました。
ステーキ屋で食べるガーリックライスや、屋台の焼きそばの美味しさを目指すのならば、12インチスキレットは一度お試しいただきたい一品です。