この度、卵焼き器を新調しました。中村銅器製作所の銅製の卵焼き器。正式名称は「銅製卵焼鍋」だそうで。名前の通り素材が「銅」のプロっぽい一品です。
銅は熱伝導率が高く、食材に素早く均等に熱が伝わるという特長があります。しかも抗菌力もあって錆びにくく、お手入れも簡単。これでふわふわの玉子焼きが作れる?
というわけで、以下レポートです。
中村銅器製作所の「銅製卵焼き器」
外観
購入したのは「13長」というサイズのもの。内寸で幅が約13cm、長さが約18cmの長方形タイプ。いわゆる「関西型」と呼ばれる、僕自身、昔から馴染みのある形です。
深さは約3cmあり、卵が3〜5個ほど調理できる容量になっています。家族4人分の朝食、あるいはお弁当ならジャストサイズという感じ。も少し子供が大きくなれば、ちょっと小さいかも。
持ち手はやわらかな風合いの白木が使われていて、持った感触が気持ち良い。
本体とは銅釘1本で留められています。「若干の緩みが気になる」というレビューを見かけましたが、我が家のも然りでした。
爪楊枝の先が入るくらいのあそびがあります。カタカタするけれど、今のところ外れることはなさそう。
持ち手は結構角度がついています。測ってみると約30°。これまで使っていたテフロン加工の卵焼き器が水平に近かったので、最初はちょっとマゴつきました。
けれども使ってみると、この角度の合理性に気が付きます。なにせ重量が約700gと重たいので、これぐらい立ち上がってないと、玉子焼きを返しにくいんですね。
ちなみにこの重量級ボディを支える接合部分は、見た目比大きめのリベットでしっかり留められています。
表面のコーティング材としての錫(すず)は、焼付けによって処理されています。メッキ処理よりも耐久性に優れ、厚みを持たせることができて保温性能がアップするそうです。
油馴らし
中村銅器製作所の銅製卵焼鍋では、一番最初に使う前に「油馴らし」をすることが推奨されています。以下、説明書から引用。
- 食器用洗剤をつけたスポンジで洗って、水でよく流し完全に乾かします。
- 鍋7分目を目安に油を入れて火にかけ、弱火で4〜5分煮てください。
- 煮終わった油には不純物が浮き上がる事があるので、完全に冷めてから捨ててください。
こうすることで油が鍋になじみ、焦げ付きを防ぐ効果があるそうです。
揚げ物レベルの油の量を使うので、ちょっともったいない気がしてしまいましたが、ええいっ!と済ませておきましょう。
実際に玉子焼きを焼いてみた
初焼き〜数回目は失敗
初焼きは見事に失敗しました。ガッチリ焦げ付きましたよ。油馴らしもキチンと済ませたにも関わらず。
これまで通りの感覚で焼いたのがいけなかったようです。テフロン加工の卵焼き器とは、火加減、火が通るスピード、引く油の量、ひっくり返す動作など、何から何まで勝手が違います。
そんなこんなが数回ほど続き、ようやくコツが掴めてきました。
銅製の卵焼き器を使いこなすポイント(テフロン加工の卵焼き器比)
油は多めに、しっかり引くべし!
油の分量は、全体にしっかり引くことを目的に、テフロン加工の卵焼き器使用時よりも多めに使うのが1つ目のポイント。少ないと大抵焦げ付きます。
とは言いつつ、油を多く使うのは健康的にどうか、というためらいが生まれます。そんな時は、酸化しにくい「こめ油」のような質の良い油を使うという方法があります。
サラダ油より高額ですが、人間の体だけでなく、卵焼き器本体へのダメージも少なくなる効果も見込めます。我が家では、卵焼きの時だけ特別枠で使っています。
火加減は中火の弱火が基本
火加減は、断然弱め。最初から最後まで、強火はご法度です。
ただし溶いた卵を流し入れるタイミングだけは、若干火力をアップさせた方が良いですね。お箸で数滴ほど卵を落とし、ジュワッと音が鳴らないようなら火力不足。この場合も、大抵こびりつきます。
弱めの中火で焼いて、中火のテフロン加工の卵焼き器使用時と同じぐらいのスピードで火は通ります。余熱を上手く使いながら仕上げるのが2つ目のポイントです。
フライ返しを使うべし!
卵焼きを巻いていくのに「フライ返しはダサい。菜箸を使うのがプロっぽくて格好いい!」という思い込みがありました。実際、テフロン加工の卵焼き器では、菜箸で問題なく巻くことができていたもので。
けれども銅製の卵焼き器では、焼いた卵がふんわりしているせいか、菜箸を使うとめりこんでしまい、上手く巻くことができません。
YouTubeを見ていると、上手な方は菜箸でひょいひょい巻いていかれますが、僕にはまだそこまでの腕がない。一発勝負のお弁当作りには、フライ返しが無難です。
ちなみに金属製は卵焼き器を傷める恐れがあるのでNG。樹脂製が安全です。
半年使えば、そこそこ上手く焼ける[おすすめレシピ付]
で、半年以上使ってきて、今ではそこそこ上手に焼けるようになりました。油の馴染みも進んで、ポイントで挙げたほど塗らなくても焦げ付きません。スルスルゥーって卵が移動します。
もうちょっと綺麗に焼ける時もあるんですけどね。いやホントに。
でも味については、明らかにテフロン加工の卵焼き器よりも美味しいですよ。食感がほわほわなのはもちろん、卵の甘みや旨味が引き出されています。
レシピ
忙しい朝におすすめなのが、鎌田醤油の「だし醤油」を使っただし巻き卵のレシピ。
- 卵:3個
- だし醤油:大1
- 砂糖:小1
- 水:50ml
朝から出汁を取るのも面倒で、かと言って顆粒だしはちょっと辛い。なんて時に、パパっと出来て美味しいこのレシピはとっても便利。材料も2、3回作れば覚えられるぐらい簡単なのもグッドです。
あとがき
卵は他の食材の臭いが移りやすい、なんてことを「美味しんぼ」で読んだ記憶があります。なので専用のフライパンを使うべきだと。
基本は水で流して拭き取るだけで、薄く油を塗っておくのはスキレットなんかと同じ。
見た目も格好良いので、すっかりお気に入りです。