そういえば最近、まな板を新調しました。
これまで使っていたまな板は、ジョセフジョセフ(Joseph Joseph)の「グリップトップ」というまな板。
裏面の格子模様部分(濃い緑)がラバーコーティングになっていて、”すべにくい”という特徴を持っています。なにより見た目がかっこいい。
購入当時は、今ほど料理をすることがなかったこともあって、使い心地についてはこだわりなく選んでしまいました。その結果、「表面が硬くて切りづらい」と、妻には不評。5年ほど経ち、カビの黒ずみが目立ってきたので、このたび新調することになったのです。
TOSARYU(土佐龍)|四万十ヒノキの軽量まな板
新しいまな板は、木製です。樹種は「ヒノキ」。高知県の四万十町森林組合さんが管理している通称「四万十ヒノキ」で作られています。
ヒノキ製まな板を選んだ理由
木製のまな板といえば、イチョウやヒバ、ヤナギ、桐など、他にもたくさんの種類があります。そんななか、ヒノキ製を選んだ理由は、次の通り。
抗菌・抗カビ・殺菌作用がある
ヒノキは、大昔から家や神社仏閣などに使われてきたほど、腐食に強い木材です。そうじゃなきゃ、檜風呂なんてこの世に存在しませんよね。
腐食菌やカビに対して効き目がある成分が、ヒノキには含まれています。有名なのはヒノキチール、と言いたいところですが、日本のヒノキにはほとんど含まれていないそうです。名前が名前だけに、誤解しそうになりますが。
国産ヒノキに含まれている物質では、αカジノールやαピネン、ボルネオールなどが高い抗菌・殺菌作用を発揮するそうです。
ほどよい柔らかさ
木材の柔らかさ(硬さ)を表す指標として、「気乾比重」があります。この数値が小さいほど、軽くて柔らかい木、ということになります。
まな板によく使われる木材の気乾比重は、以下の通りです。
- イチョウ:0.55
- バッコヤナギ:0.4〜0.55(ave_0.475)
- ヒバ:0.37〜0.52(ave_0.445)
- ヒノキ:0.41
- 桐:0.19〜0.30(ave_0.245)
イチョウやヤナギより柔らかく、桐よりは断然硬い。当然ながら、同じヒノキ科のヒバとは同程度の柔らかさです(個体差はありますが)。
初めての木製まな板に高級な素材(イチョウ、ヤナギ)に手を出すのもどうかなぁ、なんて考え、それでも桐だとあまりにも柔らかすぎるよね、ということで、馴染みある木材のヒノキに落ち着いたのでした。
四万十ヒノキの特長
さらに、高知県という環境が育んだ四万十ヒノキには、以下の特長がみられるそうで、
「四万十ひのきの特長」
四万十ひのきには次の2つの大きな特長があります。
1.ひのきは南へ行くほど光合成が活発で大きく強く育つ。
2.高知県は台風県、非常に強い風が吹くため、その風に耐える弾力性を保つために油成分が多くなります。それらの特長を活かした土佐龍のまな板は、油脂分が豊富で抗菌・抗カビ効果が高く、 水切れが良いため乾くのが早く、とても長持ちします。
(土佐龍 公式WEBサイトより)
こういう説得力のある説明に弱いんですよね。
使用感
刃をしっかりと受けとめてくれる
予定通りというか、想像通りというか、包丁の当たりがとっても柔らかいです。まな板に刃が食い込み、しっかりと受けとめてくれるので、気持ち良く食材を切ることができます。
ジョセフジョセフのまな板で感じていた、「包丁がカツカツと跳ね返される感じ」が全くありません。写真にある傷は、包丁を受けとめている証拠です。
みじん切りがしやすい
おかげで、みじん切りが圧倒的にやりやすくなりました。軽い力で、トントンと小気味よく切ることができます。
包丁がまな板まで食い込むので、食材を最後まで切りきることができるんですね。
これがジョセフジョセフのような硬いまな板だと、食い込む前に包丁が跳ね返されてしまうので、切りきれずに繋がったまま、なんてことがよく起こります。
そうならないためには、強めの力で押さえつけるような切り方をしなければならず、リズムは悪いわ、疲れるわで、あまり良いことありません。
切った食材が滑らない
また、切った食材が転がりにくいのも、みじん切りにはグッドな点。
臭い付き防止のため、必ず水で濡らしてから使うのですが、表面がしっとりして、食材が吸い付くようになります。
ジョセフジョセフのまな板の表面はボコボコしていて、一見滑りにくそうに思えるのですが、全然そうではありません。
逆に、食材との隙間が生まれ、余計にコロコロと転がるように感じがします。みじん切りをした食材があちらこちらに散らかるので、2、3回切っては整え、また2,3回切っては整えのくり返しで、作業効率は良くありませんでした。
まぁ、力量の問題が大きいでしょうけど。
びっくりするほど、すぐ乾く
木製のまな板って水分を吸い込むから、水はけは悪いものだと思っていましたが、全くそんなことはありません。夏場だと、5分も経たないうちに乾きはじめ(写真↑)、30分もすれば表面の水気は無くなっています。
木口にカビ
とは言っても、やはり木製のまな板。風通しには十分気を使ってあげる必要があります。油断をすれば、カビが発生してしまいます。
特に、まな板表面よりも木口(側面)側に発生しやすいようで、梅雨時、見事にやられてしまいました。
システムキッチン付属のまな板スタンドに立てかけてはいるのですが、どうもうちの台所はの通りがあまり良い方ではないようで。ジョセフジョセフのまな板もカビちゃったことだし、なにか策を練らなれけれなりません。とりあえず、底になる面をローテーションして様子をみましょうかね。
最悪の場合、カンナやヤスリで削れば、再び綺麗な状態で使うことができる点は、木製まな板の良いところとして付け加えておきます。
あとがき
料理をするうえで一番苦手な作業が「切る」ことでした。テレビの料理番組で、カット済みの食材が用意されているのがうらやまいと感じるほど、切る行為が苦手です。キャベツの千切りなんて、きしめんのようにしか切れないです。
それが、まな板を木製に替えたことによって、少し楽しく感じている自分がいます。切りやすくなったことはもちろん、トントントンっていう小気味よい音も、ちょっと良い気分にさせてくれるんですよね。
樹脂製よりも値段はしますが、包丁の刃こぼれも減りそうだし、衛生意識も高まる(はず)なので、トータルとして木製まな板はオススメです。