約10年間使い続けてきた「やかん」が、とうとう壊れてしまいました。笛吹き部分が焼けて、取れてしまったのです。
長年、沸騰のタイミングを笛の音に頼ってきたもので、これが機能しないのは大変不便を強いられます。
けれども本体に穴が空いたとか、取っ手が取れたわけではないので、お湯を沸かすことは可能。「使えるけど、使えねぇ」というモヤモヤした状況のまま、約1年の間、放置してきました。
ただし「まだ使える」という理由だけで、放置してきたわけではありません。必要なスペックの、好みのデザインの、妥当な価格のものを見つけることができなかったのです。
購入を検討した「やかん」たち
ステンレスケトル(柳宗理)
キッチン用品を物色するときに、必ずといっていいほど候補にあがる柳宗理プロダクト。使いやすさとデザインが両立されていて、価格さえ折り合いが付けば、手に入れたいアイテムが揃っています。
使う人のことを考え抜いたデザイン
当然ながら「ステンレスケトル(以下、柳宗理ケトル)」も検討しました。
- つや消しのステンレス
- 持ちやすく、注ぎやすく設計されたハンドル
- 沸騰までの時間を短くするために、底面が広くなっている
- 給水や手入れがしやすいよう、フタ部分の直径が大きく作られている
- 注ぎやすい、細めの注ぎ口
- 2.5L(満水時)
など、使いやすさは手にしただけで分かります。
シンプルで飽きのこない、愛着のわくデザインも魅力。「やかん」なんて、一度買えば10年以上、毎日使うことになるものなので、見た目が好みかどうかは、かなり重要なポイントです。
笛吹き機能が無い!
これだけ絶賛していて、購入に至らなかったのは次の理由から。
- 笛吹き機能が無い
- 高価
「柳宗理ケトル」は、シンプルさゆえに、笛吹き機能が付いていません。僕にとっては必須機能なので、大きく後退。
さらに一般的な「やかん」と比べて、実売価格が4倍以上という値段の高さもネック。分かってはいたことですが、やはりコストの壁は分厚い。
ステンテスケトル・L(無印良品)
デザインと言えば、無印良品の「ステンレスケトル・L(以下、無印ケトル)」も魅力的です。
こちらも、つや消し仕上げのステンレス。つや有りの方が高級感があって良い、という意見もありますが、僕は断然つや消し派。素朴で落ち着きを感じるからという以外に、水垢や小傷が目立ちにくいという理由もあります。無精者向けの機能美です。
底面が広くて熱効率が高いことや、注ぎやすいようにハンドル形状が設計されているところなんかも、柳宗理ケトルと共通した部分。商品説明には、
注いだ時に使い易いように、取っ手の前後の高さを変えています。
とありますが、柳宗理ケトルでは当たり前のように採用されています。
「やかん」だから日本人がデザインしたのかと思いきや、デザイナーはジャスパー・モリスンという外国の方でした。無印良品の製品では、鍋とかもデザインされていて、関係は深いようです。
やっぱり笛吹き機能が無い!
値段的には4,500円と、10%OFFになる良品週間を利用すれば、何とか手が出せそう。
けれども笛吹き機能が無い時点で、一旦保留となりました。笛吹き機能は、一般的には不必要なものなのでしょうか。
笛吹きケトル シェフトロン2.5L(貝印)
やはり笛吹き機能は欲しかったので、この辺りから本気で探すことになります。
そんな中、まずたどり着いたのが、貝印の「笛吹きケトル シェフトロン 2.5L(貝印ケトル)」。キッチン用品のトップメーカーなので無難だろうといのうが、選定の主な理由。
評判を見る限り、製品自体は悪くなさそうです。日本製(燕三条)だし、SG基準にも合格しています。
けれどもデザインが好みじゃない。
仕上げがつや有りで曲線主体のフォルムは、素朴さを失っています。フタのつまみからハンドル、本体がシンメトリーなのは、綺麗にまとまっていますが、おもしろさを感じません。
柳宗理ケトルや無印ケトルのハンドルが、注ぎやすさを考えてアシンメトリーにしていることからも、貝印ケトルの使い勝手に疑問が残ります。
コスパ良し!
ただ実売2,000円を切る価格は、日本製であることを考えると、かなりコスパが高い。
けれども未来永劫、愛着が湧きそうもないものを購入することに迷いを拭えませんでした。
耳に優しいハーモニカのステンレスケトル 2.5L(ヨシカワ)
引き続き、笛吹きケトルを物色していると、おもしろそうなものを見つけました。その名も「耳に優しいハーモニカのステンレスケトル 2.5L(以下、ハーモニカケトル)」。
笛吹きケトルの音は「ピィィーッ!」と、けたたましいのが普通です。沸騰したことを知らせるためなので、多少大きな音じゃないと役目が果たせません。しかしながら、これをうるさく感じる方も、一定数おられるようで。
そんな意見に耳を傾け開発されたのが、このハーモニカケトルです(推定)。
- ハーモニカの機構を利用し、どの年代でも聞き取りやすい音でお知らせする
- 500~650Hzはどの年代にも聞き取りやすい音域
- 通常の笛吹ケトルは3000~6000Hzの音域
(Amazon商品説明より)
素晴らしいコンセプトだと思います。たかが「やかん」に、これほどの創意工夫を凝らしたことに頭が下がります。
実際の音色がYouTubeにありました。
正直、良いのか悪いのか分かりません。それは僕の耳が、まだまだ衰えていないということなのかも。とりあえず喜んでおきましょう。
価格はこなれているけれど、デザインがイマイチ
実売価格は3,000円ちょいと、妥当な値段です。日本製で品質も問題無さそうですが、デザインがイマイチ気に入りません。妙にクネクネしたハンドルやフタに、興味が削がれてしまいます。
シーズ・クッキング 笛吹きケトル 2.6L (ヨシカワ)
ハーモニカケトルで知った「ヨシカワ」というメーカー。母体は新潟県燕市の金属材料問屋。ステンレスが専門で、一般向けのキッチン用品を製造するライフスタイル事業部を展開。つまりステンレス製品を購入するには、安心のメーカーということです。
そこで見つけたのが「シーズ・クッキング 笛吹きケトル 2.6L(以下、ヨシカワ笛吹きケトル)」。
- 笛吹き機能
- ステンレスつや消し仕上げ
- 手入れのしやすい、広口サイズ
- 底面が広い
- 満水2.6L、適正湯量:ガス火1.7L、IH1.5L
と希望する要件を満たしています。
しかも何気にデザインが良い。
底面が広く、高さを抑えたフォルムは、柳宗理ケトルや無印ケトルに類似。直線と曲線のバランスに優れ、シンプルな美しさを感じるところも、両者と同じ方向性のデザインに思います。低価格帯の「やかん」に多く見られる、あざといエレガントさが無いのが素晴らしい。
価格◯、機能性◎、デザイン◯
取っ手はシンメトリーなので、使い勝手はやや落ちるのかもしれません。
ですが実売価格が3,000円とお手頃で、日本製、好みのデザインということを踏まえると、ベストな選択だと考えます。
あとがき
というわけで、ヨシカワの笛吹きケトルを購入しました。レビューは次回に続きます。
ちなみに、おしゃれさで言えばホーロー製も捨てがたい。
クックベッセルの「フィーカ ハーモニカケトル 2.1L」や、
笛吹き機能が不要なら、富士ホーローの「ケトル ソリッド 1.6L」なんか魅力です。