X-Pro1(FUJIFILM)の魅力を語るシリーズ。前回は、X-Pro1の代名詞「ハイブリッドマルチビューファインダー」について書きました。
第2弾の今回は「ルックス」についてです。
真っ黒ボディに窓1つ
メーカー名、機種名は軍艦部に
X-Pro1って、ボディ単体を正面から見たら、ほぼ真っ黒です。
世の中のほとんどのカメラは、前面のどこかにメーカー名や機種名が記されているものです。けれども、X-Pro1には見当たりません。
じゃあ、どこに記されているのか?
それは、軍艦部の上面です。3ミリ程の小さな文字で、こじんまりとレイアウトされています。これがとっても格好いい!
正面にメーカー名や機種名を配置する理由は、おそらく宣伝のため。「あの人が使っているのは、どこのどんなカメラなのか」という情報を、第三者に分かりやすくする狙いが、少なからずあるんでしょうね。
ですがX-Pro1のように、軍艦部にレイアウトしてしまっては、見えるのは自分のみ。刻印なんてコストの掛かるものを、ただ自分のためだけにレイアウトするなんて、かなり”粋”です。
いや、ひょっとしてそれが狙いなのかもしれません。こうした所有者満足を最大限に高める施策は、必ず虜にしてしまう。次機種の購入にもつながるわけだし。考えすぎかな。
フィルムカメラの時代は、総ブラックペイントのカメラといえば特別バージョンの高級品でした。X-Pro1はXシリーズのフラグシップモデル。そんな時代背景も考えられてのことかもしれません。
何も記さないことで、逆にX-Pro1の存在をアピールする結果に。他に無いから目立つわけですね。
ファインダーの輝きとフラットな軍艦部も合わせて、現代では類を見ないルックスです。
威圧感を感じない、物静かなフェイス
一眼レフカメラのように、どん!とメーカー名が配置されていると”下品”な印象を受けます。まるで、ハチマキを巻いて突進してくるような威圧感を感じてしまいます。
先述の通り、X-Pro1には、主張する文字がありません。おかげで被写体に与える威圧感は少なく、逆に物静かな雰囲気が伝わってくるようです。
軍艦部がフラットなことも、そんな印象にプラスの影響を与えているように思います。
昔のレンジファインダーカメラには、こういったデザインのカメラが多かったように思います。
ライカで言えば、M5(1970年代)あたり。メーカー名と機種名が前面に刻印されているものの、フォントの種類や大きさが調整されていて、まったく威圧感を感じません。こうした処理がの巧さが、ライカ・デザインの真骨頂です。
Tシャツでも、ロゴが胸元にでかでかとプリントされているものなんかは、センス良く着こなすのが難しい。背面の左右の裾辺りに小さく配置されていれば、オシャレに見えます。それと一緒、いや違うかな。
Xシリーズに流れるデザイン哲学
少々脱線しましたが、富士フィルムのXシリーズには、ライカのようなデザイン哲学を感じます。
X10やX20なんかも、メーカー名、機種名とも、軍艦部上面に刻印されていました(残念ながら、X30では機種名が前面に配置されてしまいました)。
X-Pro1の下位機種であるX-E、X-M、X-Aシリーズでは、機種名こそ前面に配置されているものの、メーカー名は軍艦部上面に刻印されています。
しかしながら、XシリーズのツートップであるX-T1については、メーカー名と機種名の両方が前面に配置されています。いわゆる”一眼レフ”スタイルでは、難しいデザイン処理なんでしょうね。
あとがき
ファインダーが唯一無二であるのと同じくらい、僕はこの粋なルックスを誇らしく思います。今後、X-Pro系が代を重ねていっても、この2つの特徴は受け継いでいくことを願っています。
次回は、サイズ感についてです。