僕の現在の愛機は「X-Pro1(FUJIFILM)」です。
他に、「X30(FUJIFILM)」や「RX100(SONY)」も所有しているのですが、画質を優先するときには必ずX-Pro1をメインで使います。
APS-Cサイズのイメージセンサーを積んでいながら、フルサイズ機と遜色ない写りの良さに惚れ込んだのが、X-Pro1を選んだ理由です。
ですが、X-Pro1を愛して止まない理由は画質だけではありません。他にもたくさんの魅力が詰まっています。
というわけで、これから何回かに分けてお話したいと思います。
ハイブリッドマルチビューファインダー
まずは何と言ってもファインダーですね。
唯一無二の存在。コスパも良い!?
光学式ファインダー(以下OVF)と電子式ファインダー(以下EVF)が融合した「ハイブリッドマルチビューファインダー」(以下HMVF)。世界的に、いえ歴史的にも、Xシリーズしか搭載されていない唯一無二のファインダーです。
「他にない」、「類のない」、「オンリーワン」、「孤高」というワードが、僕の所有欲を刺激します。それだけで満足できるぐらいに。
まぁ、他のメーカーが後を追わないのは当然でしょうね。こんなコストがかかって、面倒くさいギミックに、普通、開発リソースは割きません。
9ヶ月後に登場したX-E1はEVFのみで、ボディ単体の初値が約8万円。X-Pro1の初値は約13万円なので、その差は約5万円。AF周りの性能がアップしたこと以外、スペック的には同程度だったことを考えると、この差額はHMVF分という推測がつきます。
ファインダーに5万円。
これを”高い”とするか、”妥当”とするのかは、個人のマニア度次第になります。ですがフィルム時代、高品質な外付けファインダー(もちろん光学式)というものは、それぐらいの値段は当たり前のことでした。
それからすると、焦点距離が装着レンズに応じて自動で切り替わったり、パララックスを補正してくれたりするわけですから、むしろ”安い”のかもしれません。
OVFの使いどころ
と、ここまで持ち上げておいて言うのもなんですが、ほとんどの場面でEVFを使います。OVFを使う場面は、全体の1割ぐらい。OVFが駄目というよりは、向き不向きがある感じですね。
OVFの使用が向いている場面というのは、
- 動きまわる子供を置きピンで狙うとき
- 暗所でEVFがちらついて見にくいとき
- その場に溶けこんで撮影したいとき
- フィルム時代を懐かしみたいとき
です。
A.動き回る子供を置きピンで狙うとき
OVFでフレーミングをするということは、目の前の光景を電子的変換無しに、そのままリアルタイムに認識するということです。眼鏡を通して眺めるのと同じ理屈で、遅れは一切ありません。
一方、電子的変換が前提のEVFではそうもいかず、どうしても目の前で起こっていることとの間に、時間的な差が生まれてしまいます。
X30など、その差が極めて少ないカメラが発売されていますが、電子的変換が行われる以上、完全にゼロになることはありません。
というわけで、子供のような不規則に動き回る被写体に対しては、捕捉がしやすいOVFを使います。レリーズラグが少ないというミラーレス機の利点も合わせ、シャッターチャンスが肝になる場面で重宝します。
B. 暗所でEVFがチラついて見にくいとき
暗所でのチラつきやノイズはEVFの弱点です。嘆いていても仕方がありません。画質に影響はないので、心配せずにシャッターを押しましょう。
けれども、長時間チラつきやノイズを見ていると、気分は沈んでしまいます。「見たものを写す」という、写真撮影におけるナチュラルな行為が阻害されているからかもしれません。
そんなときにはOVFに切り替えます。
パッと世界が開けたような開放的な気持ちになり、そこから再び写欲が盛り返してきます。
ただし、構図やピント位置がアバウトであることは覚悟のうえで。良く言えばおおらか、悪く言えばいい加減。だから開放的になるのかもしれませんが。
ピントは固定、絞りはF8ぐらいに合わせて、スナップ撮影を楽しみましょう。OVFを通したクリアな世界の中で撮影する喜びを感じて!
C. その場に溶け込んで撮影したいとき
一眼レフのファインダーやEVFの場合、見える世界がそのまま写真として記録されます。ファインダーの内側の世界が全てであり、世界とファインダーは1対1の関係でつながっています。
一方、X-Pro1のOVFでは、見える世界の全てが写真にはなるわけではありません。OVFを通して見える世界には、写真として記録されない「余白」が含まれています。ブライトフレームで分けられた外側の部分。世界とOVFは1対1以上の関係を構築しています。
どちらのファインダーを使っても、世界の一部分を写し取る行為に違いはありません。ですが、撮影に望む意識やスタイルには大きな差が生まれます。
一眼レフのファインダーやEVFは「覗くもの」であり、あたかもライフルで獲物を狙うかのように世界と向き合います。狙われる者と狙う者。被写体はあちら側の世界にいて、撮影者はこちら側の世界にいるような感覚をおぼえます。
反対に、X-Pro1のOVFは、被写体と世界を共にしている感覚が強くなります。今、まさに自分はこの場に立っている!という気持ちにさせてくれる。「余白」のおかげです。
世界に馴染みながら、世界に溶け込みながら、リラックスして写真を撮ることができます!
D. フィルム時代を懐かしみたいとき
その昔「HEXAR(コニカ)」や「CLE(ミノルタ)」といったフィルムカメラを愛用していました。
X-Pro1を使っていると、その2台をやたらと思い出します。サイズ感や手に持った感触、AFのスピード(HEXAR比較)なんかが、とってもよく似ているんですよね。
左上にOVFがあって、ブライトフレームで世界を「切り取る」撮影スタイルもX-Pro1と一緒。EVFだと当時の感覚から離れてしまいますが、素通しのガラスは昔と同じ光景を見せてくれます。
あとがき
ミラーレスが一眼レフを駆逐するのも、遠い未来ではないようです。
もしも一眼レフカメラが無くなれば、OVFを搭載したカメラは、X-ProシリーズとX100シリーズ、そしてライカしか存在しなくなります。しかもHMVFなんてキワモノは、ライカすら販売しないでしょうしね。
キープコンセプトされたX-Pro3は登場するのか。はたまたX-Pro2で終わるのか。うーん怪しい!
次回は、”ルックス”についてです。