あるに越したことはないけれど、なかなか購入に踏み切れないもの言えば「重箱」ではないでしょうか?
使うのはお正月ぐらい、と登場回数が少ないことがブレーキを踏む理由。そもそも今の時代、おせち料理を家庭でイチから作るのは少数派なのです。
また塗物など、欲しいと思うものは高級品ばかりで、とうてい手が出せるような値段ではありません。かといって合成樹脂で固められたものは、安っぽくて買いたい気持ちがわき起こってこない。
そんなわけで、かれこれ5年以上、購入をためらい続けてきましたが、ようやく気に入るものが見つかりました。
【天然竹製】七寸三段重(みよし漆器本舗)
購入したのは天然竹の三段重、サイズは7寸です。
竹製の重箱の良いところ
”爽やかさ”と”温もり”を感じる見た目
とにもかくにも、見た目の良さが購入の決め手。
「竹を割ったような性格」とは、さっぱりした気性をあらわす慣用句ですが、まさにスカッとした佇まいがとても気持ち良い。真っ直ぐで、ほどほどにきめ細かな木目と、白木寄りのすっきりとした色味がそう感じさせるんでしょうね。
そんな爽やかな印象の中にも、木製品共通の”温もり”も感じるところが、またグッド!お正月のおせち料理を入れる器としては、寒々とした印象のものよりも、温度感があるものの方が合っているんじゃないかと思います。
”木”というものは、節が少ないものを上級品としますが、これぐらいなら素朴な感じがして、ギリギリセーフ。もう少し多ければ、荒々しい印象になっていたでしょうし(写真左)、逆に全く無ければ、物足りなく感じていたんじゃないでしょうか(写真右)。
細かなところまで丁寧な仕事
6mmほどの厚みの竹に、精度の高い仕事がなされています。
写真(↑)はフタの内側ですが、斜めカットがビシっと決まっています。
同じカットが、段の上縁と底面にも施されていて、重ねたときに生じるズレをナチュラルに防ぎます。
仕切り用のパーツは全部で4枚あり、
十字に組み合わせて使います。
それぞれの切欠きの精度が高く、きっちりと組み合います。ユルユル、カタカタすることなんて全くありません。少し力を入れなければ外れないほど、がっしりと結合します。
角に見える木組みのパーツは、接合面の強度を高めるもの。単純に接着剤だけで貼り合わせるような、野暮な仕事はされていません。デザイン的なアクセントにもなっていて、気に入っているポイントです。
両手を組むような組み方だと継手がいくつも露出されるので、いかにも「和風」な感じになってしまい、こうした”粋”な感じが失われてしまいます。
水に強い、傷に強い
竹は、それ自体、水の浸透性が低く、強度と弾力性に優れた素材です。木製品ということで、カビの発生や傷を心配していましたが、どうやら問題なさそう。購入後1年が経過しましたが、新品のままの状態をキープしています。
もちろんノンコーティングというわけではなく、ウレタン塗装は施されています。漆のような艷やかさはありませんが、マットな淡い質感は落ち着いた雰囲気で、それもまた素敵!
場面を選ばない
落ち着きのある佇まいは、使う場面を選ばない良さがあります。
お正月のようなハレの日はもちろん、
運動会やピクニックなどお弁当をちょっと詰めて、というような時でもしっくりと合います。昔ながらの塗物(それに似せたデザインの合成樹脂製も含む)だと、ちょっと仰々しいんですよね。
他にも、お菓子を入れたり、お呼ばれ時の一品を詰めたりと、日常使いとしての出番はかなり多いです。
竹製の重箱のおしいところ
そこそこの重さ
木製の三段重ともなれば、かなりの重さになるかと覚悟していましたが、フタ&仕切り込みで1,118g(一段あたりは、およそ250g)。合成樹脂製のものなら、軽く1kgは切っているので、重くないことはない。
そこそこする値段
値段も、やっぱりそこそこします。我が家では、エイヤッ!と思い切りが必要な価格帯。
でもまぁそれも、使用頻度を高くし、長い年数使い続けることで徐々にペイされ、いつかは良いものを買って良かったと思える日がくるはず!
あとがき
いわゆるジャパニーズ・モダンというやつですね。重箱という伝統文化を、現代の生活に取り込んでも違和感が生まれないデザイン。「竹」という素材には、そんな力があります。
上記のものは5寸サイズ。うちは4人家族+行事ごとに祖父母、という構成なので7寸サイズ(縦21cm×横21cm×高さ21cm)にしました。
一般的な売れ筋は、6.5寸(縦19.5cm×横19.5cm×高さ19.5cm)のようです。
二段でよければ、ユナイテッド・アローズが取扱う公長齋小菅(こうちょうさいこすが)の重箱も素敵です。
6.5寸タイプと5寸タイプがあり、内側が漆色になっていて、落ち着きのある雰囲気に仕上げられています。
お正月という一年の始まりを、良い器とともにスタートさせましょう!