白いご飯に卵と醤油をかけただけの料理「卵かけご飯」。料理と呼ぶには、少しためらいを感じるほどシンプルな食べ物ですが、その専門店があることをつい最近に知り、近くに寄ったついでに食べに行ってきました。
たまごや比良の郷（堅田店）
「卵かけご飯専門店」の噂を耳にした瞬間は、異様にテンションが上がったものですが、一日経って冷静になってみると、それ目当てで積極的に足を運ぼうという気にはなれずにいました。
自分で作る時もそうですが、食べる前はちょっとテンションが上がるんです。高級な卵を手に入れた時や、お土産で地方特産の醤油をもらった時なんかは必ず「よし、今日は卵かけご飯にするぞ！」と意気揚々となる自分に驚きすら覚えます。
けれどもたいていの場合は「おいしいけど、まぁ、卵かけご飯だよね」と、食べる前に抱いていた期待ほどは感動を得られない現状に、虚しさを感じるのがお決まりのパターンです。
冒頭にも書きましたが、所詮は卵と醤油とご飯だけの、料理と呼んでも良いのかどうか分からない食べ物。過度な期待を持つ方が、どうかしているわけです。
僕の中で、卵かけご飯とはそういう理解の食べ物なので、わざわざ足を運んでお金を払ってまでして食べるのは、何かのついでじゃなければ実行に至らないことなのです。
けれども逆に考えてみれば、そんなチープな料理である「卵かけご飯」を専門にするというのは、よっぽど美味しくないと成り立たないはず。
世間では「TKG」という称号まで与えられているようで。平成も終わりを迎える今、まさかの成長期に入ったのか。僕が知らない激ウマの卵かけご飯が、そこにはあるのかもしれません。
イートインメニューとしては、ほぼ一択。「たまごかけご飯膳」のみ。ご飯の量は「並」と「大」から選ぶことができ、迷わず「大」を注文しました。
卵は、まさかの食べ放題！このお店のウリのひとつです。
けれどもご飯のおかわりは1杯100円と有料なので、卵が食べ放題であってもお得感は薄いです。
「たまごかけご飯膳」には、だし巻き卵と味噌汁、味付のり、漬物、日替わりの一品が付いてきます。この日は、シフォンケーキでした。
見てください、このメレンゲ状になった白身を！お店のもうひとつのウリです。
お茶碗からはみ出る、ふわふわのメレンゲ。深さというか高さというか、お箸がご飯に到達するまで、かなりの時間を必要とします。
これぐらい差しても、まだご飯に辿り着くことはできません。ものすごいボリューム。
というか、ご飯の量が少ないように思います。圧倒的に卵とのバランスが取れていません。卵黄を２個にしたせいなのかな。「並」はもっと少ないでしょうし、これでは卵だけを食べている感覚になります。
しかしながらメレンゲ自体に出汁が含まれているので、これだけで食べても美味しい！これは嬉しいサプライズでした。
「だし巻き卵」は京風仕立て。しっとりしていて弾力があり、食べごたえのある味です。
「シフォンケーキ」にはレーズンが入っています。甘味のアクセントがあって、これまた美味しい。
けれどもお膳の上に一緒に出されると、目の悪い僕には”厚揚げの煮物”にしか見えないのが悲しいところ。卵かけご飯と味噌汁の合間に、煮物のつもりでお箸をのばしたものだから、こっちはトホホなサプライズでした。
味噌汁と漬物は、完全に出来合いのものだったのが残念。特に味噌汁は、完全にインスタント丸出しだったので、ひと手間欲しいですね。
あとがき
やはりというか、なんというか。またしても、食べた後に虚しさを感じてしまう結果となりました。
ご飯の量が少なく感じたことや、味噌汁がインスタントだったことは、副次的要素なので目をつぶります。メレンゲ状の白身や、そこに出汁が入っていたことをプラスに考えても、根本的な感動を得ることができなかったのが敗因ですね。
卵かけご飯の専門店を名乗るなら、アレンジメニューを増やし、新しい食べ方の提案がもっとなされる方が良いのかもしれません。「三ツ星レストランが認めた卵」推しだけでは、限界があるように思います。
家庭でも、ふわとろ卵かけご飯を作る機械も売られていることですし、これでも良いんじゃないかなぁ。
