以前、ホームベーカリーで焼く食パンの味に限界を感じ、人気店からヒントを得ようとした記事を書きました。
実際に食べ比べてみて、作ってみたいと思ったのは「乃が美」の『高級「生」食パン』でした。
しっとりとして耳まで柔らかく、きめが細かい。小麦の香りが強く、ほんのりとした甘さを感じ る。何も付けずに、そのまま食べても十分に美味しい食パンです。
何をどうすれば、この食パンに近づくのか。
皆目見当も付きませんでしたが、調べてみると「おうち乃が美」のレシピが公開されているのを見つけました!
というわけで、レッツ!クッキングです。
「おうち乃が美」のレシピと分析
「おうち乃が美」のレシピは、家庭用「生」食パンのレシピ
「おうち乃が美」のレシピは、パナソニックから新しいホームベーカリーが発売されたのに伴い、「乃が美」が監修したものです。
ホームベーカリーを使って、家庭でも作れるようにと考え出されたものなので、実際に店舗で販売されている『高級「生」食パン』のレシピとは異なります。そりゃそうだ。
でもまぁ、ものは試し。作ってみると、何か発見があるかもしれません。
「おうち乃が美」のレシピを分析
「おうち乃が美」のレシピで使う材料と分量は、次の通り。比較対象として、普段作っている食パンのレシピを併記しておきます。
おうち乃が美 | 普段の食パン | |
強力粉 | 250g(イーグル) | 250g |
砂糖 | 35g(三温糖) | 17g |
塩 | 5g(ぬちまーす) | 5g |
無塩バター | 15g(四つ葉バター) | 10g |
生クリーム | 40ml(乳脂肪分35%) | – |
水 | 160ml | 180ml |
スキムミルク | – | 4g |
ドライイースト | 1.4g(サフインスタントドライイースト金) | 2.8g |
備考 | ※室温25℃以上のときは、約5℃の冷水を10mL減らして使う。 ※SD-MDX101、SD-MT2以外の機種で焼くときは、強力粉と水をそれぞれ20g減らしてください。 |
※使用する材料について、特に指定はありません。 |
材料はメーカー指定
「おうち乃が美」では、水と生クリーム以外の材料には、すべてメーカーの指定があります。
たいていはスーパーで手に入りそうなものですが、「ぬちまーす」と「サフインスタントドライイースト金」は、置いているお店は少なそうです。高級食材を扱うお店か、通販を利用しましょう。
分量の違い
両者の分量をくらべてみると、はっきりと違いがあっておもしろいです。
砂糖とバターは多め
「おうち乃が美」は、砂糖とバターを通常よりも多く入れます。バターは1.5倍。砂糖については約2倍と、かなりの量です。三温糖を指定していることも合わせると、コクと甘みをアップさせる狙いがありそうです。
生クリーム
生クリームを入れることも「おうち乃が美」の特徴です。乳脂肪分35%とは、つまり油脂ですね。スキムミルクや牛乳を使ったときよりも、コクと滑らかさがプラスされます。
ドライイーストは半分
不思議に思ったのは、ドライイーストを半分量しか入れないことです。バターや生クリームなど、ねばっこい材料を多めに入れるにも関わらず、これでは上手く膨らまないような気がします。
はたして、どうなるのか。ドキドキです。
「おうち乃が美」の”生”食パンを、実際に焼いてみた、食べてみた
実際に「おうち乃が美」の「”生”食パン」を焼いてみました。
作業手順
手順は、普段の食パンと同じです。
- ドライイースト以外の材料をパンケースに入れる
- イースト容器にドライイーストを入れる
- [ドライイーストコース]を選択し、メニューモードは[食パン]、焼き色は[淡]に設定
- 予約は使わず、スタートする
約5時間後に取り出し、1時間〜1時間半ほど冷まして完成です。焼き立てよりも、冷ました方が甘みが増して美味しくなるそうです。
ちなみに、我が家のホームベーカリーは指定機種ではないので、レシピに従い、強力粉と水を各20gづつ減らしています。
実食
切って分かる”しっとり”感
大きさや形、焼き色など、見た目は普段焼いている食パンと同じ。けれども、包丁を入れた感触は、明らかに違います。
表面の皮は薄く、良い意味でパリッとしていません。力を入れなくても、包丁の刃が食い込みます。内側もしっとりと粘り気があるため、ほどよい抵抗を感じながら、一息に切ることができます。生クリームとバターの効果なのかもしれません。
いつもなら切りカスが多く出るところですが、今回はほとんど発生しませんでした。
気泡は少なめ
気泡の量は、いつもの半分程度。ドライイーストを半分量ほどしか入れなかったのは、これが狙いだったのか。それにしては、よくここまで膨らみましたね。
”しっとり”させながら、”ふわふわ”を維持するには、これぐらいのバランスが限界なのかもしれません。
味、食感、匂いは、本家と同じ傾向
味については予想通り。ほんのりした甘み、しっとりとした食感が食欲をそそります。もちろん、耳まで美味しい!
噛むと旨味が増す、何もつけなくても美味しいのは、本家の『高級「生」食パン』と同じ。
けれども両者を比べると、立ち上る小麦の匂いは控えめです。あちらはオリジナルブレンドの小麦を使用し、香りまで計算しているそうなので、当然ですね。
それでも焼いている時、部屋に広がる香りは、普段よりも強く、上品に感じました。子供たちがクンクンと鼻を効かせて、階段を足早に降りてきたことが、何よりの証拠です。
あとがき
本家の『高級「生」食パン』よりも美味しい、なんてことはありませんが、結構イイ線いってると思います。
- 耳までしっとり&もっちりの食感
- ほんのりした甘み
- 噛むほど旨味が広がる
- 何もつけなくても美味しい
など、同じベクトル上にはあるのかと。
より近づけようとするなら、小麦をもっと香りの強いものに変えるなど、材料を追求しなければなりません。
公式ページを読み解けば、他にも
- ハチミツを入れる
- マーガリンを入れる
- 限界まで水分を多く
など、まだまだ奥が深そうです。
だったら、このままでもイイじゃん、って思えるぐらいに「おうち乃が美」の食パンは美味しいです。
古いホームベーカリーでここまで美味しいのなら、レシピが推奨するおうち乃が美対応モデルで焼いたものは、もっと美味しいんじゃないか、と妄想が膨らみます。
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