気温の上昇とともに、身も心もアウトドアへと向かうこの時期。ここ数年、しょっぱなのイベントは「潮干狩り」です。
例年、行く場所は同じ。三重県・津市にある御殿場浜(ごてんばはま)という海岸です。自宅からのアクセスが良く(車で約90分)、入浜料は無料。駐車場も無料(一部)、収穫制限無し、と選ばない理由が見当たりません。
今年もマテ貝採りに挑戦してきました!
御殿場浜(ごてんばはま)海岸
最近の言葉で表現すると、まさに”神”スポット。
入浜料0円
潮干狩りができる海岸といえば、ふつうは入浜料がかかります。相場は、大人1,500円、子供1,000円ぐらい。我が家の場合、大人2人と子供2人なので、5,000円程度の出費になるところ、御殿場浜では0円。往復の高速代が浮いてくる計算です。
駐車場0円
台数に限りがあるものの(約500台)、無料の駐車場が用意されています。土日祝日になると競争が激化しますが、平日なら大丈夫かと。
今回行ったのも春休みの真っ只中でしたが、平日だったのでガラガラでした。到着時間が早かったことも(干潮の3時間前)プラスに働いたのかもしれません。
もしも無料駐車場が満車の場合でも、有料駐車場も点在しているので、停められないことはないと思います。それでも駄目な場合は、、、いや、ここでは書かないでおきましょう。
収穫制限無し
潮干狩りができる海岸って、収穫量に制限があるところも多いようですね。しかも、持ち帰り禁止という所も結構あるようです。生態系や衛生面を考慮すると、仕方がないことではあります。
そんな中、御殿場浜海岸は収穫量制限無し。もちろん持ち帰りも自由です。
ただし、生育未熟な貝を採るのはNGです。トイレに貼られていた注意書きによれば、
- アサリは、約2cm以下
- ハマグリは、約3cm以下
は採らないように(アサリ←→ハマグリだったかも)、とありました。監視の目があるわけではないので強制ではありませんが、みんながいつまでも楽しむことができるよう、マナーは守りましょう。
ユニクロやスーパーが徒歩5分
海を持たない街に住む者からすれば、潮干狩りができる海岸なんて、遠く離れた僻地にあるものだと思いがち。ですが、御殿場浜海岸は、街にぴったりと面しています。徒歩5分圏内に、ユニクロやスーパーがあります(これを街とするかは、置いといて)。
気軽に食べ物や飲み物を買いに行くことができ、着替えが必要になったとしても安心です。後ほど紹介する”マテ貝採りグッズ”さえ準備していけば、たいていの事は何とかなりそうです。
マテ貝を採る
御殿場浜海岸で採ることのできる主な貝は、アサリ、ハマグリ、バカ貝、マテ貝。そのなかでも、お目当ては断然、マテ貝です。
普段通うスーパーなんかでは、絶対にお目にかかることがない貝です。見た目は二枚貝と大違い。いわゆる貝らしからぬ姿をしています。
でもこのマテ貝、採って楽しい、食べて美味しい、潮干狩り界のアイドル的存在なんです(勝手に言ってるだけです)。
マテ貝ってどんな貝?
マテ貝は棒状の殻をまとっています。大きなものだと直径が1cm強、長さは15cmぐらい。これでも二枚貝に分類されるようです。一瞬グロテスクな印象を受けますが、行動はとってもチャーミングです。
マテ貝は、アサリやハマグリのように、砂の浅い層には生息していません。深い穴を掘って、その中で暮らしています。なので、クマデを使って砂をかくだけでは採れません。住み処となる穴を見つけて、地上までおびき寄せてやる必要があるのです。
マテ貝の採り方
0.潮干狩りに最適な日
まず何よりも、潮干狩りができる日かどうかを調べるところからです。
使いやすいのが、このサイト。
干潮時刻がカレンダー式に表示されていて、大潮、中潮、小潮の表記があります。潮干狩りに最適な日は◎、適している日は◯が付けられていて、非常に分かりやすい。
大潮の日で前後2時間が収穫チャンス。そこから逆算して、出発時間を決定しましょう。
1.アサリやハマグリを探す
マテ貝の近くには、アサリやハマグリがいることが多いように思います。エサや潮の流れの関係なのかもしれません。同じ貝同士、住みやすい場所も似ているんでしょうね。なので、まずは表層にいるアサリやハマグリを探して当たりをつけます。
2.住み処の”穴”を見つける
マテ貝が住んでいる穴は、真円よりも楕円状に近い形をしています。といっても、絶対に楕円かというとそうでもなく、真円に近いものもあれば、崩れた形のものもあります。最初は見分けが付きにくく、ハズレをひくことも多いものですが、慣れてくるとパッと見ただけで分かるようになってきます。
まずはアサリやハマグリを探して、と書きましたが、クマデで砂をガリガリ掘り起こすようなやり方はNGです。砂がゴチャっと崩れ、せっかくの穴が塞がってしまいます。
そこで活躍するのが、面状の土を掘る道具。代表的なものはクワです。
面状というのがポイントで、砂をサクッと削り取るような作業ができなければいけません。穴を壊さずに、出口だけを露出させる作業です。
我が家のクワは、農作業で使う普通のものですが、いかにも”達人”いう風貌の方は、このようなものを使っていました。
左官用のクワで、モルタルなんかを混ぜるのに使うものです。これぐらい幅があると、一度に広い面積が掘ることができて効率的ですし、砂が崩れるのを防げるのではないか思います。
3.穴に塩を投入→マテ貝出現→ゲット!
それらしき穴を見つけたら、塩を投入します。ここが他の貝採りと違うところ。
もしも穴の中にマテ貝がいれば、しばらく経った後、穴の中からニョキッと姿を現します。始めは辺りの様子をうかがうように、ほんのちょこっと顔(?)を出す感じで。それから一旦引っ込んで、今度はぐぐっと体全体を出してきます。
始めの段階で慌てて採ろうとせず、殻全体が出るまで待ちましょう。マテ貝の先端は水管なので柔らかく、たいていの場合、そこを掴むとちぎれてしまいます。しかも、穴の中に戻ろうとする力が強いので、指先で摘んでも逃げられる確率は結構高い。採りたい気持ちを押さえ、しっかりと掴める殻部分を狙うのが確実です。
マテ貝採りに必要なもの
マテ貝を採るために必要なものは、すでに紹介したクワと塩(ソースボトル)、収穫した分を入れておくバケツ、持って帰るためのクーラーボックスなどです。
塩は、口先のすぼまったソースボトルに入れるのが、使いやすくておすすめです。これなら手が塩まみれにならず、穴に向かってピンポイントに塩を投入することができます。100均に売っているもので十分です。
塩自体は、できるだけサラサラなものを用意してください。大粒のものだと、ソースボトルの口に詰まってしまい、出にくくなってしまいます。家族4人で1日中マテ貝採りをするなら、1kgは用意しておきましょう。ケチると、マテ貝の反応が鈍くなります。
今回に痛感したことですが、バケツは座れるものが絶対におすすめです。
一度、海岸に出てしまえば、岸にもどるのは非常にめんどくさくなります。大潮の時だと、数百メートルほど沖まで出ているので、戻るのがしんどい。かといって、周りは海と泥。休む所なんてありません。そんな時に、ちょっと腰掛けられるものがあるとラクですよ。
ザルやネットの類があると便利です。クーラーボックスに入れる前に、一度真水で洗っておく方が貝は傷みにくくなるそうで、その時に活躍します。
潮干狩りに履くものは、長靴をおすすめします。ガラス片や貝殻など、案外、砂の中には鋭利なものが潜んでいるからです。足先までしっかり保護しておけば、安心して潮干狩りが楽しめます。
また春先は、気温が高くても水温自体は低いもの。サンダルなんかで長時間いると、冷えて足が痛くなり、疲れも倍増しちゃうので。
余談ですが、先ほど登場した達人は、塩をプラスチックの箱に入れ、割り箸の先に少量すくい取り、穴の中に投げ入れていました。塩の容器はスーパーのカゴの中にセットし、採ったマテ貝を残りのスペースに入れておく。おそらく200本は超えていたと思います。
マテ貝パスタの作り方
いつもはバター焼きにしたり、炭火で焼いてだし醤油で食べたりするところですが、今年はパスタに挑戦してみました。
まずはニンニクと鷹の爪をオリーブオイルで炒め、香りを移します。うちの家族はニンニクを食べるとお腹をくだす傾向にあるので、みじん切りにせず、薄切りにして、香りを移し終わると取り出してしまいます。
マテ貝と白ワインを入れ、しばらく加熱。殻が開き、旨味エキスをたっぷり引き出します。
エキスが十分出た頃合いで火を止め、殻から身を取り外します。殻が付いたままだと、おそらく子供は食べないだろうと予想。身も、長いものは切りました。めんどくさいけど、美味しく食べて欲しいので頑張ります。
全ての殻が取り出せたら、別のフライパンで炒めておいた玉ねぎ(薄切り)とキノコ(今回はえのき)と合わせます。
パスタの茹で汁を少し加え、塩コショウで調整。茹で上がったパスタと絡めて完成!
マテ貝はアサリをひと回り濃厚にしたような味で、十分に育ったものは歯ごたえがプリプリしていて絶品です。バジルやパセリなど、ハーブ類を適量ふりかけると、より一層美味しくなりますよ(今回はバジルを使いました)。
あとがき
この日に収穫したマテ貝は64本。中潮の日で、11時過ぎから始め、15時過ぎまで沖に出っぱなしでした。おかげで腰と太ももの裏が筋肉痛。座れるバケツが欲しいです。
潮干狩りは夏までOKということですが、取り尽くされてしまうかもしれないので、おすすめはやっぱり春かな。
トイレはもちろん、足洗い場も完備(ボートレース場近く)されていて、駐車場から海岸までは目と鼻の距離。気軽に潮干狩りが楽しる海岸です。