準備不十分な出発ではありましたが、一通り、有名な観光スポットについては情報を集め、旅行に臨みました。
前回までの記事に登場したスポット以外にも、「エンジェルロード」や「オリーブ公園」、「戸形崎の鯉のぼり」などなど、5歳児には少しタイトなスケジュールで、ウロチョロしてきました。
そのなかでも特に気に入ったスポットを、ピックアップしたいと思います。
肥土山農村歌舞伎
5月3日の祝日に、1年に1度しか行われることのない「肥土山農村歌舞伎」。江戸時代から300年以上も受け継がれてきた伝統行事であることと、運営が自治会住民の手であることに興味をそそられます。
舞台は、間口17.10メートル、奥行8.83メートルの寄棟造り。大屋根は茅葺きで、下屋は本瓦葺きとなっています。堂々としているけれど、どこか親しみを感じる雰囲気の建物です。
明治33年に5度目の改修が行われたそうで、当然ながら、国の重要有形民俗文化財に指定されています。
見ることができたのは、第二幕の子ども歌舞伎からでした。
子ども歌舞伎とは、その名のとおり、演者が全員子供。この日に演じていたのは、幼稚園年長さんもいました。いただいたパンフレットには、化粧をしていない素の顔が掲載されていて、誰もかれも、あどけない表情をしています。
演者はもちろん、衣装や道具、舞台の設営にいたるまで、住民の手で準備をするそうです。
肥土山地区の人口がどれぐらいなのかは分かりませんが、これだけの行事なので、総出で行わなければ追いつかないだろうと思うのです。はっぴも揃えて、一致団結ですね。
控え部屋では、出番直前まで練習する演者の真剣な表情を垣間見ることができました。いよいよ開演です。
演目は、「伽羅先代萩 政岡忠義の段(めいぼくせんだいはぎ まさおかちゅうぎのだん)」。仙台藩伊達家の家督相続事件を題材にしたものらしいのですが、不勉強すぎて内容は全く分かりません。
けれども、小学生3年生の息子は、この圧倒的な世界に引き込まれ、見入っていました。同じく内容は分からなかったようですが、感じるものは強かったようなので、貴重な体験です。
観客席は、ござなどを敷いて座ることができます。飲食も自由なので、皆さん、のんびりした雰囲気で鑑賞されていました。
ほぼ満席に近い状態で、後ろは立ち見がいたほど。地元の方が占めるなか、ちらほらと観光客の姿も見られました。聞こえてくる会話によると、この日に合わせて里帰りをしてきた若者たちもいるようでした。そういうのって、なんだか素敵に感じます。
終幕が近づいてくると、見せ場では、”おひねり”が投げ入れられます。色鮮やかな紙ひねりが、何度も何度も宙を舞う光景は、とても華やかで、あたたかな気持ちにさせてもらえますよ!
肥土山農村歌舞伎 舞台
住 所 | 〒761-4151 香川県小豆郡土庄町肥土山 |
日 時 | 5月3日 15時30分〜 |
重岩(かさねいわ)
もう一か所、心を揺さぶられた場所が「重岩(かさねいわ)」です。
パワースポットという呼び方はあまり好きではありませんが、この大きな岩の下に身を潜めると、確かに、何かに守られているような不思議な感覚に陥ります。
小豆島の最も西に位置し、瀬戸内に浮かぶ島々を一望することができます。恐る恐る身を乗り出してみると、足元にはミニチュアのように縮小された町を見ることができます。
それもそのはず。重岩にたどり着くまでには、400段ほどの階段と、未整備の山道を登らなければばりません。
この山道がかなり大変で、大人の腰高ほどの岩を乗り越えなければ、先に進めないポイントがあったりします。
体調が悪かったり、体力に自信のない方、あるいは天候が悪い日は十分気をつけて登ってください。ハイヒールは厳禁です!
重岩それ自体、とても心が揺さぶられる場所なのですが、駐車場の近くに脳みそが揺さぶられるポイントがあります。これがその写真(↑]。
小豆島は良質の花崗岩の産出地であり、丁場と呼ばれる採石場が、島内にいくつも存在しています。重岩がある小瀬地区もそのうちの一つで、その昔、大阪城の築城に用いられていたそうです。
点線状の穴は「矢穴(やあな)」と呼ばれ、石を切り出す過程で付けられたものです。ここに樫の木などで作った楔を打ち込んで、割っていたそうな。その時代の職人たちの手業がリアルに感じられ、ドキドキします。
しかも、この小瀬地区を仕切っていた武将が、あの加藤清正だというのですから。「真田丸」以来のにわか歴史ファンにとって、十分すぎるぐらい興奮する場所でありました。
小瀬石鎚神社
住 所 | 小豆郡土庄町小瀬 |
※駐車場までの道のりは、ぐねぐね曲がる細い山道で、大きな車同士だと離合するのが難しくなっています。同乗者がいる場合は、一旦降りて先に進んでもらい、誘導をしてもらうのが賢明だと思います。
あとがき
エンジェルロードやオリーブ公園も良いところだとは思うのですが、感動が起きるような場所ではありませんでした。混雑していたからなのか、歳のせいなのか。他所にもありそうな、表面的な感じがするんですよね。
今回ご紹介した2つの場所は、派手さはありませんが、そこでしか体験することのできない感動を味わえる場所だと思います。心も脳も身体も全部、揺さぶられます。
どうやら僕のなかにある”感動のものさし”は、歴史や伝統、自然といったものが軸になっているようです。このことが鮮明になったのが、今回の旅行の一番の収穫だったように思います。
あれ?エンジェルロードは自然の産物なのですがねぇ。