先週末、京都で開催された富士フィルムの新製品イベントに行ってきました。その名も「FUJIKINA 2017 京都」。
第一線で活躍されるフォトグラファーのトークショーや、Xシリーズの無料レンタルサービス、無料クイックメンテンナスなど、充実の内容となっていました。短い時間でしたが、GFX 50SやX-T20などの新製品にも触ることができましたよ。
以下その模様をお伝えしたいと思います。
GFX 50Sを触ってみた雑感あれこれ
「FUJIKINA 2017 京都」の会場は3つあり、それぞれテーマが異なります。
烏丸御池近くの「しまだいギャラリー」は、『大フォーマットの世界』がテーマ。富士フィルム初の中判デジタルカメラ『GFX 50S』をメインとした構成になっていました。
取り回しは他社ハイエンド機と同等か、それ以上に軽快!
タッチ&トライコーナーで実機に触らせていただき、その取り回しの良さに驚きました。感覚でいえば、ニコンやキャノンのフルサイズ機に近く、中判カメラの印象を良い意味で裏切ってくれています。
調べてみると、GFX 50Sの方がはるかに小さいことが分かります。
【GFX 50S】 | 【D5】 | 【EOS1D Mark2】 | |
幅 | 147.5mm | 160.0mm | 158.0mm |
高さ | 94.2mm | 158.5mm | 167.6mm |
厚み | 91.4mm | 92.0mm | 82.6mm |
重量 | 920g | 1405g | 1530g |
GFX 50Sの「高さ」には、EVFの数値が含まれていないので、突出して小さな数字になっています。
EVFが装着されたところは、トップの写真を見てください。やはりD5やEOS 1Dと同程度、もしくはそれよりも小さい、ということがお分かりいただけるかと思います。
同じ中判カメラのPENTAX 645Zとくらべるとどうでしょう。
【GFX 50S】 | 【645Z】 | |
幅 | 147.5mm | 156.0mm |
高さ | 94.2mm | 117.5mm |
厚み | 91.4mm | 123.0mm |
重量 | 920g | 1550g |
645Zはずいぶんと胸板の厚い、ぼってりとしたボディです。重量を含め、レフ機とミラーレス機の差が、はっきりと表れています。
GFX 50Sは、グリップの手がかり具合も上々。標準レンズ(GF63mm F2.8 R WR:405g)との組み合わせでも1300g。
普段X-Pro2を使っている僕からすれば、かなり重たく感じるはずですが、バランスが良いからなのか、この組み合わせなら手持ちスナップもいけるんじゃないかと思ったほど、取り回しの良いシステムに仕上がっています。
作品の世界に吸い込まれるような、リアルな描写
写りに関しても、ここで説明するまでもなく、とても素晴らしいものでした。
ギャラリーにはA0判(?)の作品が数十点ほど飾られていたのですが、どの作品も浮き出るような立体感と生々しいほどリアルな色艶で表現されていました。数センチしか離れていない位置からでも、まったく”粒”が見えてこない。普通はドット感があってもおかしくない距離なのに。
特に、このトマトの作例はすごかったなぁ。赤色の表現も見事だったけど、表面をおおっている薄い皮一枚の存在が、張力とともにきっちり伝わってきました。
GFX 50Sの背面液晶は、タッチ操作を使って拡大縮小ができます。ピンチイン・ピンチアウトってやつです。一緒に連れて行った子供を撮影し、限界までピンチインをしてみました。するとまつ毛はもちろん、虹彩まで認識できるほど結像していたのにはびっくりでした。
まるで作品の中に吸い込まれるような感覚に見舞われるほど、圧倒的な描写でした。
AFスピードは、X-Pro2+XF35mm F1.4に似ている
僕が操作した実機には、GF63mmF2.8 R WRが装着されていました。なじみのある35mm判に換算すると、焦点距離50mmのレンズです。
AFのスピードは、X-Pro2にXF35mm F1.4を装着したときと同じぐらいだと思っていただければ良いかな。ストレスのない速さ、といったところ。
GF63mm F2.8 R WRのフォーカスは、前群繰り出し方式。前面のレンズ群をゴリッと動かしてピント合わせを行うので、若干、AFスピードは犠牲になっているのでしょう。XF35mm F1.4もそうでした(全群繰り出し方式)。画質を最優先した手法です。
フルサイズを含めた勢力図が上書きされる予感
これまでXシリーズに採用されてきたフォーマットは、大きいものでも、APS-Cサイズ(23.6×15.6mm)。XFレンズやフィルムシミュレーションなど、シリーズ全体として”写り”に関する評価が非常に高く、フルサイズでの展開を望んでいた方も多くおられたことだと想像します。
そんな中、GFX 50Sに採用されたセンサーは、フルサイズ(36.0×24.0mm)よりも大きな中判サイズ(43.8×32.9mm)。
Xシリーズ以上の「高解像・高画質」を実現するためとはいえ、ちょっとジャンプしすぎじゃないの、というのが当初の感想でした。ですが、あれだけ取り回しが良ければ、フルサイズの必要性は薄れてしまうのも当然なのかもしれません。
もしもこの先、「廉価版GFX」なんてものがが登場することがあれば、中判フォーマットはもちろん、フルサイズ機を含めた勢力図の書き換えが起こるのは避けられないでしょうね。
トークショー
あとの2会場は、祇園にある「ASPHODEL」と清水の「ギャラリー祥」。それぞれ『センターファインダーの世界』と『レンジファインダーの世界』がテーマ。そのうちトークショーが行われたのは「ASPHODEL」の方。
とてもじゃないけど1日で3会場をまわるのは無理と判断。2日間とも行けばよかったなぁ、と悔みながら、楽しみにしていたトークショーに集中することにしました。
ASPHODELでは、4名のフォトグラファーの方が講演をされました。僕が拝聴できたのは、そのうちの3名。
写真撮影全般のテクニックからXシリーズならではの使いこなし術、はたまた撮影現場の裏話など。普段、一人であーだこーだ頭をひねりながら写真を撮っている僕にとって、プロの写真家の実践的なお話は、目からウロコなものばかり。とても有意義な時間を過ごすことができました。
詳しいトーク内容については、今後、撮影した写真を交えながら紹介していこうと思います。この場でまとめて書いてしまうのはは、写真家の皆さんに失礼な感じがするもので。
あとがき
いやぁ、楽しかったな、FUJIKINA 2017 京都。
何が楽しいのかって、Xシリーズ・ユーザーを数多く見れたこと。
富士フィルムのカメラってまだまだマイナーな存在なので、普段、使っている方に出会うことってほぼありません。運動会や観光地といった、比較的カメラの台数が多いような場面でも、まず見かけませんので。
それがFUJIKINAのこの日は、そこらじゅうにXシリーズを使っている人がいる。
ギャラリーの中は当然ですが、烏丸御池から祇園にいく道中にも、X-T2やX-T20をぶら下げた人に出くわすのです。慣れない体験なので、ちょっぴり恥ずかしい思いになってしまうのは、”Xシリーズあるある”になるのでしょうか。ニコンやキャノンユーザーの方は、そんな思いになることはないのでしょうかね。
実に奇妙な1日でしたが、いろいろな意味で勇気が湧く1日になりました。また開催して欲しいです、FUJIKINA 京都。
[追記]それでも、やっぱりX-Pro系に出会う回数は少なかったなぁ。ぶつぶつ。