前回、ランタン選びは意外に難しい、という内容の記事を書きました。
僕がランタン選びに費やした時間は、結構なものです。
優柔不断な性格やお財布事情もさることながら、体系的に整理して考えることができなかったのが最大の原因。個々のランタンを紹介している各種メディアはよく見かけるのですが、基礎となる”考え方”を、分かりやすく解説しているものにはめぐり会えませんでした。
こうした反省を踏まえ、これからランタンを購入しようと考えている方に、僕なりの”ランタン購入の基礎となる考え方”をお伝えしたいと思います。
ランタン購入の基礎となる考え方(ふじこめ流)
1.使用する”場所”を決める
ランタン選びの最初のステップは、使用する「場所」を考えるところから始まります。
一般的なファミリーキャンプの場合、生活スペースはどのように分けられるか?
- テント内
- タープ下
- リビング
- テーブル上
- キッチン
- リビング
- タープ外
テント、テーブル、キッチンには、それぞれにランタンを用意するのが望ましい。
特にテント薄い生地でできているとはいえ、壁で仕切られた独立した空間なので、専用のものを1つ用意する方が良いでしょう。
リビングとは、テーブルやキッチンをひとまとめにした場所、とお考えください。たいていの場合、タープの下にレイアウトするかと思います。
先ほど、テーブルやキッチンには個別にランタンが必要、と書きましたが、タープの下に収まるようなコンパクトなレイアウトならば、リビングスペースに1台という考え方もできますね。
ただし、煙がモクモク出るような調理をする場合は、キッチンをタープ下から外すこともありえるので、光の届く範囲には注意しなければなりません。
2.使用するエリアの”広さ”を考える
ランタンを置く場所は決まりました。ではそれぞれの場所には、どれぐらいの明るさが必要なのかを考えます。
普段住んでいる住宅を思い浮かべてください。
6〜8畳ぐらいの部屋では、100W程度の蛍光灯を使っていることが多いと思います。それよりも広いリビングなどの部屋では、140W以上の明るさが確保できるように、照明器具を複数台設置されていることだと思います。
一方、トイレや洗面所など、2〜3畳ほどの狭い部屋では、60Wぐらいの明るさが一般的ですね。
このように、必要な明るさは、使用する場所の”広さ”に準じています。
ファミリーキャンプにおける各生活スペースを、”広さ”で分類したものが下の図です。
テントの中やテーブル、キッチンなど、区画度が高い場所は、”狭い”エリアに分類できます。一方、リビングやタープの下といった区画度が低い場所は、”中くらい”〜”広い”エリアに分類できます。
3.使用するエリアの広さから、必要な”光量”を考える
次に、各エリアに必要な”明るさ”を考えていこうと思うのですが、この”明るさ”が厄介で、ランタン選びを難しくする悩みのタネなんですよね。
理由は、メーカーによってW(ワット)、lx(ルクス)、cd(カンデラ)、lm(ルーメン)など、明るさを示す単位がバラバラで単純に比較することができないから。
もうね、こうなったら細かいことを考えていても仕方がないので、ざっくりいきましょう。
今後、このサイトでは、単位は馴染みのあるW(ワット)に統一して考えることにします。変換するうえで誤差は発生するでしょうが、所詮、明るさなんて感覚的なものだと割り切ってしまいます。
あらためまして、各エリアに必要な明るさW(ワット)を分類すると、下の図のようになります。
例えば、我が家はスノーピーク社のアメニティドーム(2.7m✕2.7m)というテントを使っているのですが、おおよそ4.5畳の広さなので、60〜80Wほどの明るさがあれば十分です。
同じように、テーブルやキッチン周りも、それぐらいの明るさがあればいいでしょう。逆にこれ以上明るくすると眩しいので、結局は少し明るさを落として使うことになります。
迷うのがタープ下のリビングスペースです。ここを1台のランタンでカバーするのならば、150W程度は必要だと思います。先にも書きましたが、タープの少し外まで光が届く方が、ファミリーキャンプには何かと都合が良い。
テーブルに1台、キッチンに1台というように、100Wぐらいのランタンを各所に配置するのもひとつの手だと思います。ランタンが複数台あれば、状況に応じて自由なレイアウトが可能になるので、自然相手のキャンプでは結構便利なことが多いです。
キャンプサイト全体を照らすような目的では、200W以上の明るさが必要です。虫寄せ用としても機能するので、有効な配置だと思います。けれどもあまりにも明るすぎると、他のキャンパーの迷惑にもなるので、これほどの光量は必要ないような気もします。
4.ランタンを3つに分類
以上の分類にしたがい、ランタンも大型、中型、小型というように3つに分類することができます。
メーカーでは、それぞれいくつかのモデルをラインナップしているのですが、仕様表を眺めていると、どうやらこの3段階で自社製品を設計しているように見受けられます。
例えば、スノーピーク社のランタンは、
- 【大型】ギガパワー BFランタン(170W)
- 【中型】ギガパワーランタン“天”オート(80W)
- 【小型】リトルランプ ノクターン(非公開。20Wぐらいかな)
のようになります。
全体的に光量は小さめになっていますが、ここはメーカーの考え方が表れているところで、「過剰な明るさは不自然」、というメッセージが伝わってきます(本当のところは知りません)。
(補足)テントの中は燃料式のランタンは使えない
以上で、基本となる考え方は終了なのですが、1点だけ注意点を。
テントの中で使うランタンには、ガソリンやガスなど燃料式のものはNGです。
燃料式のランタンは、当然のことながら、燃料を燃やして明かりを生むので、多くの酸素を使います。
テントの内部は仕切られた空間なので、最悪の場合、一酸化中毒になってしまいます。また、ランタンを倒してしまった場合、テントを燃やしてしまう恐れも考えられます。
そういった理由から、テント内は火気厳禁です。
ということはテントの中で使うランタンは、必然的に電池式、最近ではLEDランタンの一択になりますね。
ランタンを絞り込む
以上を踏まえ、現在市販されているランタンの中で、独断と偏見でピックアップし、分類してみました。
各ランタンの名称と明るさの公称値、そしてW数に変換した値などを表にしました。
品 名 | メーカー | 方式 | 公称値 | 換算 | |
A | ノーススター(R)チューブマントルランタン | Coleman | ガソリン | 360CP | 230W |
B | 2500 ノーススター(R)LPガスランタン | Coleman | ガス | 320CP | 200W |
C | パワーハウス(R)ツーマントルランタン | Coleman | ガソリン | 300CP | 190W |
D | フォールディングガスランタン UL-X クリア | UNIFLAME | ガス | – | 240W |
E | 535 マイマーランタン | PRIMUS | ガス | 470lx | 210W |
F | MB ランタン オート | EPI gas | ガス | 400lx | 200W |
G | ギガパワー BF ランタン | Snow Peak | ガス | – | 170W |
H | SB ランタン オート | EPI gas | ガス | 140lx | 100W |
I | 2245ランタン | PRIMUS | ガス | 370lx | 170W |
J | ギガパワーランタン“天”オート | Snow Peak | ガス | – | 80W |
K | EX-777XP | GENTOS | 電池 | 280lm | 30W |
ピンク太字は推定です。
根拠は、EPIgas社のランタンの仕様に、lxとW、両方の値が示されているところから。あとは色々なレビューサイトを反映した結果ですが、正確な値というわけではありませんのであしからず。だいたいこれぐらいの範囲におさまるなじゃないか的な推測値です。
我が家のランタンは、EX-777XPと535マイマーランタンに決定!
上記の候補に絞り込み、最終的に我が家のランタンは以下のように決定しました。
【小型ランタン】GENTOS|EX-777XP
まずはテントの中でも使えるよう電池式のLEDランタンから決定しました。上の表で、もうすでにこの機種1台に絞られていますね。
LED式なのに、そこそこ明るく、何よりも価格が安い。とても人気の高いランタンで、各種レビューで高評価を得ています。
実は、キャンプデビューをした一昨年に購入しており、2シーズン使ってみましたが、テント内やキッチン及びテーブル上など局所的に照らす分には、非常に使い勝手の良いランタンだと思います。
購入当初からの電池を使い続けているのですが、まだ点灯するので、コストパフォーマンス的にも優れていると思います。
本格的にキャンプにのめり込み、燃料式のランタンを買い揃えていった時にでも、このランタンは活躍の場を失わないんじゃないでしょうか。
【中型ランタン】PRIMUS|535マイマーランタン
大型にするべきか、中型にするべきか、長らく迷った結果、我が家ではこのランタンを購入することにしました。
友人たちが大型ランタンを使っていたので、その明るさにほれぼれしていたのですが、「フルパワーではあまり使わない」という声を耳にしたこともあって、”光量の大きな中型ランタン”という選択に落ち着きました。
他にも理由はあるのですが、今後のレビュー記事にてお伝えします。
今シーズンはこのコンビで過ごしてみて、中型ランタン、あるいは小型ランタンをもう1台買い足すのが良いのか、はたまた大型ランタンが必要になるのか見定めたいと思います。
→2016/5/9:レビュー記事を追加しました。