X-Pro2のレビュー記事といえば、まだ発売される前、大阪の富士フィルムサービスステーションで触らせてもらったときにも書きました。
そのときの内容をざっくりまとめると、
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- AFが速くなった
- 持ちやすくなった
- OVF(光学ファインダー)が実用的になった
- 露出補正ダイヤルが操作しやすくなった
ほんの少し操作しただけの感想ですが、1ヶ月間使った今でも大筋では同じように思います。さらに使い込む時間が長くなるにつれ、より細かな進化を発見しながら撮影しています。
以下、前回のレビュー記事を踏まえながら、新たに感じた進化ポイントをお伝えします。
システム全体のスピードがアップ!撮影間隔0.25秒。撮影スピードが段違いに進化。
X-Pro1からの大きな進化は、動作全般が飛躍的にスピーディになったこと。
AF速度の向上こそが最も貢献している部分ですが、撮影間隔が0.25秒に縮まったことなど、X-Pro2のスピードアップは随所に感じることができます。
AF(エリア)モードが多様になり、どれもが実践レベル
X-Pro2に搭載されているAFモードは、どれもが実践レベルで、さまざまな場面でスピーディなフォーカシングをアシストしてくれます。
X-Pro1のAF(エリア)モードは、実質1種類
X-Pro1で選択できるAF(エリア)モードは、
- 「オートエリア」:シャッターボタン半押しで、画面内のコントラストが高い被写体にピントを合わせる。
- 「エリア選択」:ピントを合わせるエリアを手動で選択。
の2種類でした。
僕は99.9%、「エリア選択モード」を使っていました。ピント位置をカメラ任せにする「オートエリアモード」は、僕の撮影スタイル(被写体は1点のみ)ではほとんど役にたたなかったのです。
X-Pro2のAF(エリア)モードは4種類。適材適所で効果を発揮!
X-Pro2に搭載されているAf(エリア)モードは3種類。フォーカスモードによって少し挙動が変わってくるので、実質的には4種類です。
- 「シングルポイント」:ピントを合わせるエリアを手動で選択。
- 「ゾーン」:ピントを合わせるエリアを手動で選択。77のエリアの中から7×7、5×5、3×3のゾーンを選択できる。
- 「ワイド」(AF-S時):シャッターボタン半押しで、画面内のコントラストが高い被写体にピントを合わせる。
- 「トラッキング」(AF-C時):ピントを合わせるエリアを手動で選択。シャッターボタンを半押し中、被写体の動きに合わせてピントを合わせ続ける。
「シングルポイントモード」と「ワイドモード」はそれぞれ、X-Pro1でいうところの「エリア選択モード」と「オートエリアモード」にあたります。なのでX-Pro2でも、今のところ「ワイドモード」の出番は少ないです。
「ゾーンモード」がお気に入り。子ども撮影に威力を発揮!
とりわけ僕が多用しているのが「ゾーンモード」。これはかなり使えます!
僕が被写体とするのは、ほとんどの場合、息子や家族、友人たちのスナップです。記念写真のように並んで構えて撮影するよりは、日常の一瞬を切り取るような写真が多い。
なので基本的には何らかの”動き”があることが多く、さらに被写体とカメラの間には障害物(適切な言い方ではないかも)があることも少なくありません。
そんなおだやかな混沌の中で撮影するときに、この「AF-S+ゾーンモード」は抜群の歩留まりを発揮してくれるのです。
「シングルポイントモード」に比べて測距範囲が広い(最大7×7、最小3×3)ので、
- 横の動きに追従する
- 測距範囲内でカメラがピント位置を判断するため、合焦速度が速い
などのメリットがあります。
「ピント位置をカメラ任せにしてしまう」ことには、疑問に思う方もおられるかもしれません。ですが、このモードではあらかじめ撮影者が測距範囲を限定してしまうので、狙った被写体から大きく外れることはありません。
なおかつスナップという性質上、ある程度の被写界深度は保たれていることが多いでしょうし、完全なるピンぼけになることは少ないように思います。
強化されたAF(エリア)モードを使い分けることによって、多くの場面でピント合わせがスピーディに行えるようになりました。
とっさにカメラを構えても被写体に食いついてくれることが多いので、とてもテンポよく撮影が進みます。
「エリア選択モード」のみで撮影していたX-Pro1時代とは雲泥の差です。
「顔(瞳)検出モード」は、ノーファインダー撮影時に使える!
「顔(瞳)検出モード」とは、顔(瞳)にピントを合わせ、明るさも適正露出に調整してくれる機能です。僕はそれほど頻繁に使ってはいませんが、「ノーファインダー撮影」をするときなんかにその威力を痛感します。
「ノーファインダー撮影」とは、どんな場面で使うテクニックなのか?
シーン1:その場の空気を大切にするとき
僕だってそうですが、カメラを向けられるとおのずと身構えてしまうものじゃないでしょうか。
背面液晶を見ながらのいわゆる”スマホ撮り”でも構えてしまうのですから、ファインダーを覗きながらがっつり撮影された時には、どうしてもカメラを意識せずにはいられません。
ファインダーや背面液晶を見ることなく、目の前の被写体と会話やその場の空気を楽しみながらシャッターを切る。そんな場面に最適な撮り方が、「ノーファインダー撮影」です。
シーン2:目一杯高い位置から撮影するとき
人だかりの向こうに、撮影したい被写体がいるけど、近づけない。そんな時はカメラを持つ手を目一杯あげてシャッターを切ります。
まるでスクープを追う報道カメラマンのような撮り方ですが、運動会や発表会でも同じ状況に出くわすことって結構あるのではないでしょうか。
こんな場面でも、「ノーファインダー撮影」は役にたちますよ。かなりの確率で、人物にピントを合わせてくれます。非日常なアングルからの写真は、あとでモニターを確認したときに、新鮮な発見を与えてくれます
いずれの場面でも、構図はデタラメになりますが、それも味。ピントさえ合っていれば、不思議とおもしろい写真に仕上がるもの。「顔(瞳)検出モード」は、僕にとってそんな撮影方法を実現させてくれる便利なテクノロジーです。
X-Pro2には”顔”認識に加え、”瞳”認識機能も搭載されています。ノーファインダーでサクサク撮影するには、これほど心強い機能はありません。
操作ボタンが右サイドに集約。Fnボタンも絶妙なレイアウト。
X-Pro1は左サイドに操作ボタンがあった
X-Pro1には背面液晶を挟んで左手側にも操作ボタンがありました。[DRIVE]、[AE}、[AF]の3つのボタンです。画像再生時のズームイン(アウト)や削除機能も兼ねていたので、普段からよく使うボタンでした。
この左側レイアウト、一部では「使いにくい」という意見がありました。ボタンを操作するときに、必ず両手でおこなわなければならないからです。
確かに、ミラーレスカメラのほとんどは、右サイドにボタンを集中させてるものばかり。「小さくて軽い」をウリにしているだけあって、片手で操作が完結することは正義なんでしょう。
逆に、「大きくて重い」一眼レフは、今でも左サイドにボタンが配置されていたりします。
右サイドに操作ボタンが集約されたX-Pro2は、速写性が向上
X-Pro2では、すべての操作ボタンが右サイドに集約されています。ほとんどの操作が、右手親指1本でできてしまいます。左手はカメラを支えるのみ。
僕はX-Pro1のボタンレイアウトに対して不満に思っていたわけではありませんが、X-Pro2を使ってみて、「なるほどこれは合理的だな」と感じています。特に強くそう感じるのが、「左手を撮影ポジションのままにしておける」という点です。
撮影の基本スタイルは、両脇を締め、左手でカメラ本体をホールド、右手は添えるぐらいの力加減でシャッターに指をかけます。左手の親指と人差し指で、レンズを下から支え、絞りやズームリングを操作する。
例えば、連射モード([DRIVE]ボタン使用)に切り替える場合、X-Pro1のボタン配列だと一旦、左手を撮影ポジションから解かなければいけません(右手だけでやれないこともないですが、左手を使うほうが自然)。
けれどもX-Pro2のように、全ての操作が右手親指で完結するボタンレイアウトだと、左手は撮影ポジションのまま固定しておけ、右手人差し指もシャッターボタンから離さずキープしておくことが可能です。
つまりそれは、”いつでも撮影可能な状態”とうことであり、速写性のアップにつながっているのです。
Fnボタンの割当てが、デフォルトのままで使いやすい
X-Pro2ではボタンのレイアウト変更とともに、アクセスできる機能も再設計されています。
大半の人がよく使うであろう機能が、はじめからFnボタンに割り当てられていて、カスタマイズの必要性はあまり感じません。X-Pro1には、割当て不可能な謎の”空白ボタン”があったことを思い出すと、かなりスマートな操作体系になったと思います。
ダイヤルオペレーションも健在なので、少しのあいだ手の中で転がしていると、感覚だけで各設定が行えるようになります。
フォーカスレバーの出来が良くって感動!
X-Pro2以前のXシリーズは、フォーカスエリアを変更する場合、一旦Fnボタン(デフォルトでは十字ボタンの下)を押す必要がありました。ダイレクトに変更できない仕様になっていたのです。
たったのひと手間ですが、されどひと手間。一瞬が仇となり、これまでに何度シャッターチャンスを逃してきたことか。
さらにフォーカスエリアを移動するためには、上下左右4つのボタンをポチポチと押す(あるいは押し続ける)必要があるので、実際にはかなりのまどろっこしさでした。。
だからこそ僕は、X-Pro2にはぜひともタッチフォーカスを採用して欲しいと考えていたのです。
タッチフォーカスなら、フォーカスエリアの移動はワンタッチで行えます。そのままシャッターを切ることだってできてしまいます。
昔使っていたOM-D(オリンパス)にはタッチフォーカスが搭載されていて、「これぞデジタルカメラの真骨頂!」と絶賛した覚えがあります。スナップシューター機には必須の機能だとさえ思うのです。
X-Pro2のフォーカスレバーはレスポンス最高!
フタを開けてみれば、X-Pro2には「フォーカスレバー」と呼ばれる、いわゆるジョイスティックが搭載されました。
ジョイスティックって、僕はゲーム機以外に使ったことがなかったのですが、Canonの一眼レフ(マルチセレクターという名称)に搭載されていたりと、カメラ業界では、特に目新しいものではないんですね。
タッチフォーカスが採用されなかったのは少々残念ですが、使ってみると「フォーカスレバー」は良いものだとわかりました。
スピーディな動き、斜めへの移動が可能
上下左右、さらに斜めを合わせた計8方向への移動が、レバーから指を離すことなく自由に行き来することが可能です。
X-Pro1もそうでしたが、よくある十字ボタン方式だと、斜めへの移動は不可能です。
そして各方向ボタンを押し分けるのに一旦指を離す必要があるので、スピーディさは失われます。
直感的&高レスポンス
さきほど”ゲーム機”というキーワードを出しましたが、プレステで慣れ親しんだアナログコントローラーの要領で操作できるので、きわめて直感的という印象です。しかも、かなりの高レスポンス!
同じようにジョイスティックを搭載するEOS 5D Mark IV(Canon)を、某カメラ店で操作してみましたが、X-Pro2ほど快適には感じられませんでした。若干ひいき目な感想ですが。。
誤動作無く、素早くアクセス
右手親指がスタンバイする広々とした一等地に、完全に独立した形で配置されているので、他のボタンと間違うことなく、即座にアクセスすることが可能です。
ファインダーを覗きながらの撮影でも、さくっとエリア変更ができちゃいます。タッチフォーカスなら鼻の頭が画面に触れてしまい、誤動作を引き起こす場面ですが。
というわけで、発表前はタッチフォーカスを切望していたものの、今ではフォーカスレバーもなかなかやるな!という考えに変わりました。X-Pro2のフォーカスレバーの出来が、思いの外良かったからですね。
それでもタッチシャッターの便利さは捨てがたいものがあるので、欲をいえば両方とも搭載し、適宜、選択できればいいのにな、というのが本音です。
まとめ
元X-Pro1ユーザーとしては、かなりキビキビと動くようになった印象のX-Pro2ですが、一世代前のX-T1やX-T10なんかと比べてもスピードは増しているのか?そのヒントが、公式サイトのこんな記事に書かれています。
どうやらX-Pro2がスピーディに感じるのは、”数値”ではなく、”体感”によるものだそうです。
最適な条件下でみせる一瞬の速度をもって語るのではなく、悪条件の下でも安定したパフォーマンスを発揮できるようになったことが、X-Pro2に”速さ”を感じる要因だということです。
公式サイトの記事はAF速度について書かれたものですが、システム全体としての底上げという意味では、操作体系の合理化&効率化に関しても同じことが言えます。
カメラを構えてからシャッターを切るまでの「撮影スピード」は、操作体系の進化によってもたらされているのです。
被写体を見つけ、サッと構えてスッと撮る。そのためにも、普段から僕はレンズキャップは付けないようにしています。その代わりにレンズプロテクターとフードは必ず装着するようにしています。といっても付けっぱなしにしているだけですが。
フードはドレスアップの観点から格好いいものを選びたくなりますが、OVF時のケラレが気になるので純正のまま。ほとんどの撮影がEVF、という方は目一杯オシャレしてください。レンズ保護的にも絶大な威力を発揮するので。
プロテクターもできれば純正品が良いとは思うのですが、少々高い。XFレンズと同じ「スーパー EBC コーティング」が施されているので、画質の劣化も最小限に抑えられているようです。
でもやはり高級なので、サードパーティ製で様子を見ています。今のところ、目立った画質の低下は感じられません。