X-Pro2のアドバンストハイブリッドマルチビューファインダー。OVFの使いどころと落とし穴。

花火を持って動き回る子供
本ページはプロモーションが含まれます

X-Pro2には、「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー(以下HMVF)」という世界で最も長い名前のファインダーが搭載されています。

光学ビューファインダー(以下OVF)と電子ビューファインダー(以下EVF)をワンアクションで切り替えることができるから”ハイブリッド”。この広い世界の中で、X-ProシリーズとX100シリーズだけにしかないファインダーです。

X-Pro2のレゾンデートルとも言うべきHMVFですが、X-Pro1の頃から、ほとんどの撮影はEVFでこなし、OVFは気が向いたときにちょこっと使う、といった感じ。あくまでも趣味として、遊びとしての撮影で。

けれども最近、OVFの出来の良さに感心させられた場面が多々ありまして、これは決してオマケやイロモノではないぞ!と、今更ながら活用し始めた次第です。

スポンサーリンク

OVFの使いどころ

動きや流れを見計らっての撮影

松井稼頭央選手(楽天)

OVFを覗いて見えるものは、素通しの風景と撮影範囲を示すブライトフレーム。ブライトフレームはOVF画面いっぱいよりも小さく表示され、まるで目の前の風景と自分との間に浮かんでいるかのようです。

一眼レフやEVFと違い、ファインダーをのぞいている目で撮影範囲の外側が認識できるので、周囲の変化にタイミングを合わせた撮影が簡単に行えます。

上の写真(↑)は単写で1枚だけパチリとしたものですが、狙った通りの感じで撮れました。

  1. ブライトフレームを使って構図を決める。
  2. ブライトフレームの外側(OVFの左端)でピッチャーを見据える。
  3. ボールがフレームインしてくるのに合わせ、シャッターを押す。

球速は150kmに迫る勢いでしたが、一連の流れがファインダーの中で完結していて、追いかける必要がない分、タイミングが非常に取りやすい。TVゲームの「熱スタ」や「パワプロ」で遊んでいるようなものです。

ちなみにフォーカスモードはMFの置きピン。AFでは、途中にあるネットに焦点が合いがちだったもので。

ライブ感の中での撮影

釜田投手(楽天)

プロ野球の写真をもう一枚。

先ほど球速150kmと書きましたが、プロのスポーツ選手はとにかく俊敏&パワフルです。普段、街角スナップと息子の写真ばかり撮っているせいなのか、その迫力にとても感動させられました。

X-Pro2のEVFは、表示タイムラグが0.12秒まで短縮されています。0.70秒だったX-Pro1から、80%以上の高速化が実現されました。

人間の反応速度が0.20秒と言われているので、すでに十分なスペックに到達していることになります。ですが、たとえ0.12秒でも、タイムラグがあることに違いはないわけで、プロスポーツの超スピードを前にしては、どうにも足を引っ張っているような感覚を覚えます。

その点、OVFの表示タイムラグは0.00秒なので、これ以上のリアルタイムはないわけです。見えているその瞬間がシャッターを押す瞬間であり、写真として記録される瞬間になります(実際は、シャッタータイムラグ0.05秒分ずれることになりますが)。

さらに言えば、EVFでは感じられない生々しさが伝わってくることも、プロスポーツのようなライブな場面では有効だと思いました。

暗所での撮影

琵琶湖大花火大会

X-Pro2のEVFは暗所で使い続けていると、チラついたり、カクカクした動きになることがあります。X-Pro1に比べてずいぶんマシにはなったものの、ゼロではないだけに、ちょっとしたストレスを感じてしまいます。

OVFなら、”チラつき”や”カクつき”が全く発生しないので、ノンストレスです。特に花火撮影のような、

  • 周囲は真っ暗
  • 被写体自体は明るい
  • 被写体に動きがある

などの状況に効果的だと思いました。

この場面でもMF+置きピンに設定。ピントは無限遠に合わせても良かったのかもしれませんが、ERF(右下に現れる小さな液晶。エレクトロニックレンジファインダー)で追い込みました。

線香花火

これなら線香花火にだって、ピントを合わせることができます。火花が散っていないシーンしか撮っていないのは、腕の未熟さゆえです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

OVFの落とし穴

ERF使用時は、AF速度が落ちてしまう

EVFやLCD(背面液晶)で「ピッ!」と合焦する場面でも、OVFでは「ンンッ、ピッ!」と、ひと呼吸分の間が発生してしまうことがあります。

手持ちのレンズ全て(XF23mmF2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4、XF55-200mm)で試しましたが、いずれも同じようなものでした。仕組み的には、映像を電気変換するEVFやLCDよりも速くなりそうなものなのに。

なぜだろう?とあれこれいじっていたら、ようやく原因が分かりました。ピント確認のために表示させていたERF(右下に現れる小さな液晶。エレクトロニックレンジファインダー)が邪魔をしていたのです。

試しにERFをオフにしてみたら、EVFやLDC使用時と変わらないスピードで合焦してくれます。視界がクリアな分だけ、OVFの方が素速く感じるぐらい。間違いなく、思い込みなのでしょうけど。

ERF自体は非常に凝ったギミックで便利なものなのですが、常時オンにしておくのはおすすめできませんね。

スポンサーリンク

あとがき

OVFとゾーンフォーカスの組み合わせで行うスナップ撮影は、とっても気持ちが良い。AFはスパスパ合うし、現実そのままのクリアな視界は、被写体と同じ場所に居ることを実感できます。EVFやLCDだと、どうしても隔たりのようなものを感じるんですよね。

と言いつつも、OVFが良くて、EVFやLCDが悪い、あるいはその逆もまた同じ、といった原理主義的な考えでX-Pro2を使うのは、かなりもったいないことだと思います。

1点に集中するときはEVFを使って一眼ライクに撮影し、よりラフ&フランクに撮影するときはLCDを使う。このAF性能なら、ノーファインダーだって選択肢として実用十分です。

撮影意図や状況によって、いくつもの撮影スタイルが選択可能な「マルチ撮影システム」だと考えれば、こんなにも楽しいカメラは他にはないように思います。