ランニング用のBluetoothイヤホンを物色していましたが、
悩んだ挙げ句、TaoTronics(タオトロニクス)の『TT-BH07S Boost』を購入しました。
コスパ最高!とバカ売れした『TT-BH07』の流れをくむ本モデル。僕にとっては、初めてのBluetoothイヤホンということで、利便性はもちろんですが、音質にも期待しての選択です。
では早速レビューといきます。
TT-BH07S Boost(TaoTronics)
主な仕様(TT-BH07、TT-BH07Sとの比較)
TaoTronicsとは、SUNVALLEYという中国の会社のオーディオ製品を扱うブランド。日本法人があり、アフターサポートもしっかりしているそうで安心。
『TT-BH07』から『TT-BH07S』は、対応コーデックやドライバーなど、より高音質なものに仕様が変更されました。そして『TT-BH07S Boost』は、「BOOST」の文字からも分かる通り、低音域が強化されたモデルとなっています。
主な違いをまとめたのが次の表です。
TT-BH07 | TT-BH07S | TT-BH07S Boost | |
Bluetooth | 4.1 | 5.0 | |
コーデック | aptX | SBC、AAC、aptX、aptX HD | |
再生時間 | 6時間 | 15時間 | |
防水等級 | IPX6 | IPX5 | IPX4 |
その他 | – | φ6mmチタンコーティング ダイナミック型ドライバー | φ10mm特殊ファイバー採用 ダイナミック型ドライバー |
ダイナミック型イヤホンの音質は、振動板(ダイヤフラム)の大きさに比例するそうなので、
φ10mmのドライバーを搭載された『TT-BH07S Boost』のサウンドには期待してしまいます。
しかしながら、代を追うごとに防水等級が下がっているのは謎ですね。
内容物
内容物は、こんな感じ。ごくごく一般的なものばかり。
イヤーピースとイヤーフックは、それぞれS、M、Lの3種類が付属。好みのフィット感やサウンドになるよう組み合わせが可能。ちなみにデフォルトは、各Mサイズが装着されています。
取扱説明書がきっちりとした日本語で書かれていると、やっぱり安心。シンプルな操作系なので、1度読んで実際に使ってしまえば、改めて読み返すことは少ないとは思いますが。
本体外観
全体的に艶消しブラック一色のシンプルなデザイン。
ハウジング部分は、おそらくアルミ素材。ローレット加工が施されていることもあってか、値段の割に安っぽさは感じません。
マグネットの吸着具合はしっかり目。首からぶら下げた時に安定感があります。
リモコンはプラスチックで、可もなく不可もなくといった感じ。
ボタンはゴムかな。それぞれが独立していて、押すとはっきりとした感触があるので、結構操作しやすい印象です。
リモコンの裏には、このイヤホンで唯一のロゴマークがプリントされています。
メーカーの提供画像などからは、位置や色が確認できず。真っ白だったら嫌だなぁ、と思っていたら、グレー寄りの控えめなカラーリングで一安心です。
リモコンの側面には、充電ポートがあります。端子形状は、おなじみのMicro USB。
フタはゴム製で、ちっさな突起が付いています。これを爪でつまんで引っ張り、意外にもスムーズに開けることができます。めちゃくちゃ小さな突起ですが、あると無いとじゃ大違いです。
『TT-BH07S Boost』では、これまでハウジング内部にあったバッテリーがケーブル上に移動しました。リモコンと一対のレイアウトです。
バッテリーボックスは、黒いプラスチックの塊。一見、重たいのかな?と思ってしまいますが、これ自体、ほとんど重さを感じません。装着したときの重量バランスも、全く影響無しです。
ケーブルには、長さ調節用のアジャスターも付属。カタログに載らないほど地味ですが、ランニング中、ケーブルのバタつきを抑止するのに、あると便利なパーツです。
ペアリング
ペアリングも、いたって簡単かつスムーズ。iPhoneの近くでリモコン真ん中の[▷]再生ボタンを長押し。あとはiPhoneの方で接続を許可すればOK。
一度ペアリングすれば、次からはイヤホンの電源をONにするだけで、自動接続されます。
操作性やフィット感
ペアリングと同様、基本的な操作はいたって簡単。各ボタン、通常の1回押しか長押しで、ほとんどの操作ができてしまいます。ちょっと使えば、すぐに体が覚えるレベル。
電話関係の操作は少々複雑ですが、僕の場合、「受信」か「拒否」しか使わないので問題無し。いずれも真ん中の[▷]再生ボタンを押すだけです。
マイクが口元に近いおかげで、Siriの操作も快適です。ここ最近、Siriとの会話が多くなってきた僕にとっては良い塩梅。
イヤーフックは、付けなくても音質に何ら影響はありません。
僕の場合、イヤーチップをLサイズにすれば、しっかり耳にフィットします。コンパクトだし、見た目も好みなので、付けずに使っています。
[追記]ランニング時のフィット感については、別記事に書いています。
音質
比較対象は、iPhone8付属のイヤホン(以下『EarPods』)。無線・有線の違いは大きいですが、おそらく世界で最も普及しているイヤホンなので、お伝えしやすいかと。
あと僕自身、かねてから『EarPods』で十分という耳の持ち主。部分的に強調された音よりかは、ナチュラルな音場表現を好む傾向にあります。
『TT-BH07S Boost』には、Lサイズのイヤーチップを装着。iPhoneのイコライザーは「オフ」。静かな屋内で聴き比べています。
高音〜中音域
高音〜中音域にかけて、クリアに鳴らすのは『TT-BH07S Boost』。解像感があって粒立ちが良く、艶やかさや伸びも十分に感じます。ボーカルの声がより鮮明に、より近くに聴こえます。
ですが、その解像感の高さからなのか、若干、角の立ちが気になります。ジャミ感が強めで、長時間のリスニングはしんどいかもしれません。今後、エイジングが進んで、もう少しまろやかになることを期待します。
一方、『EarPods』は情報量に勝ります。全域でムラが無く、フラット寄りでバランスが良い。控えめながらも、全体として安定した厚みのある音場を形成している印象です。
良く言えば聴きやすい、悪く言えばくぐもった音、といった感じです。
低音
期待していた『TT-BH07S Boost』の低音は、メリハリがあり、重さを感じるもの。ダイアフラムがしっかりと空気を動かしているのが、耳に、そして脳にダイレクトに伝わってきます。
ただし、中音域とのつながりが悪いのか、低音域だけ浮いてしまい、嫌味に感じる場面もしばしば。この辺り、イコライザーの調整で何とかなるのかもしれません。
その点、『EarPods』は上手いですね。無理のない上品な低音を響かせます。盛り上がりは欠けるけれど、ドンシャリ系が苦手な僕には、こっちの方がドキドキしなくて済むので、落ち着いて聴くことができます。
解像感や立体感
解像感は『TT-BH07S Boost』の方が上。輪郭が明瞭で、今まで気付かなかった音を発見するといった体験は、こちらのイヤホンの方が多いのではないかと思います。
立体感についても『TT-BH07S Boost』は分かりやすい表現をしているな、という印象です。写真で言えば、彩度を上げて見栄えを良くするように。ただし不自然さは残ってしまいます。
その点『EarPods』は、地味だけど自然な立体感を形成しています。音のつながり、写真で言えば階調の良さが大きな要因だと思います。
あとがき
結論から言えば「買って良かった」です。
低音は期待通りにしっかり鳴り響き、中〜高音域は期待以上にクリアに抜けてくる。Bluetoothイヤホンなんて、と舐めてかかっていた僕にとっては、かなり嬉しいサウンド。エイジングによって、まだまだ変化する余地が残っていることも楽しみです。
なにより、ケーブルレスは超快適!『EarPods』で満足な耳の方なら、買って損無しだと思います。
こうなると逆に、チタンコーティングドライバー採用の『TT-BH07S』や、
より高音質に設計された『TT-BH07S Plus』も気になりますね。
どんな音がするんだろう?