ダッチオーブンを手に入れたなら、ぜひとも取り入れてもらいたいメニューの1つが「パン」です。
ダッチオーブンで作る、焼きたてパンの魅力
”焼きたて”のパンは、それだけでも美味しいものですが、ダッチオーブンで焼くと熱の入り方が違うからなのか、ふんわりもちもちのパンが焼き上がります。
ちぎると、湯気がほわぁとたちのぼり、最後まで白肌の生地が細く長く引き合い続けます。
マーガリンなんてなくてもOK。噛めば、口の中に甘みが広がり、しあわせな気分に浸れます。
我が家では、ほぼ毎朝、ホームベーカリーで作った自家製パンを食べているので、”焼きたて”のパンの美味しさは分かったつもりでいました。
ですが、ダッチオーブンで焼いたパンの味を知ってしまうと、ホームペーカリーで焼いたものは、少々貧弱に感じます。
キャンプでの朝食は、焼きたてのパンと淹れたてのコーヒー、そして大自然の綺麗な空気が我が家の定番になりつつあります。
キャンプ前日までの準備
パンの生地作り(こねる→分ける→冷凍する)
なにはなくとも、まずはパンの生地をつくらなければ、話は始まりません。
生地は冷凍して持っていこう
パンの生地は前日までに用意して、十分に冷凍したものを持って行くことをオススメします。前準備を済ませておくことで、グッと手軽になります。
もしも当日、現地で生地作りから始めるとなると、色々と面倒です。
- 材料(粉、塩、砂糖、バター、牛乳、イースト菌など)を持ってかなければならない。
- 道具(ボウル、サランラップ、まな板など)を持っていかなければならない。
- 温度管理に気をつかわなければならない。
- 準備の時間が結構かかる。
など。これらのことは覚悟しておく必要があります。
たまにイベント的に行うなら、これもまた楽しい。生地をこねたり、発酵でパンが膨らむのを待つのは、とてもワクワクします。
ですが毎回となると負担になってくるかも。結構、骨が折れる作業なもんなんで。最悪の場合、焼きたてパンを食べられない、ということにもなりかねません。
なので、前準備パターンもマスターしておいて損はないんじゃないかと思います。
材料(バターロール仕様)
現地にマーガリンやバターを持っていくと、溶けてしまうリスクがあるので、できれば避けたいところ。我が家では、あらかじめ多めに生地に混ぜ込んでおく「バターロール仕様」にしています。
【材料(1斤分)】
- 強力粉 280g
- バター(orマーガリン) 50g
- 牛乳 150ml
- 卵 25g(1個の半分量程度)
- 砂糖 25.5g
- 塩 5g
- ドライイースト 3g
ホームベーカリーの説明書に記載されている、そのままの配合です。
混ぜる、こねる
上記の材料を混ぜ合わせ、こねあげます。ホームベーカリーにお任せするとラクチン。
ホームベーカリーを使うと、生地の質が安定するし、粉も飛び散りません。手を抜くことも、手軽に食べるためには必要です。
分ける、丸める
できあがった生地は「スケッパー」などで等分し、丸めます。
上記の分量だと、1つ45g。12等分ぐらいにすると、いい感じです。
あまりに大きなかたまりだと、
- 熱の入り方にムラが生じやすくなる
- 焼き時間が長くなり、内側がふんわりする前に、皮の部分が固くなってしまう
など、温度管理が一段階むずかしくなってしまいます。
小分けにしておくと、
- ダッチオーブンに敷き詰めやすい(12インチに2斤分が、びっちり収まる)
- ちぎりやすい&分けやすい
- 仕上がりのビジュアルがかわいい
など色々なメリットがあります。
冷凍する
丸めた生地をバットなどに並べ、冷凍庫でカチカチに凍らせます。冷凍することで、イースト菌の活動を一時的に停止させることができます。
イースト菌の活動は、5℃以下で停止、27℃〜30℃で活発になります。
この温度と活動の関係を覚えておくと、状況に応じて発酵具合をコントロールできるので、ぜひとも頭に入れておいてください。
凍らせた生地は、出発とともに「クーラーボックス」に移し、キャンプ場にて解凍、2次発酵へと進めていきます。
保冷温度は5℃以下をキープしたいので、適切なスペックのものを選びましょう。
キャンプ当日(パンを食べる前の日)の準備
解凍〜2次発酵
と言っても、クーラーボックスから取り出して、翌朝まで放っておくだけです。
ただし、その日の温度状況によって、取り出すタイミングが変わってきます。
夏キャンプの場合
夜中でも25℃ぐらいあるような季節なら、晩ごはんの準備を始める夕方5時ぐらいにクーラーボックスから取り出せばいいかな、と思います。直射日光を避ける目的で、日没を目安にしてもいいですね。
ホコリや虫、乾燥対策として、固く絞ったふきんを被せておくと良いです。
さらに深夜、猿などに荒らされることも考えられます。できればフタ付きの箱の中に入れておくか、あるいは車の中に入れておくというのもおすすめです。
ダッチオーブンが使える状況なら、いっそのことオーブンの中に入れてしまうのもひとつです。もちろんフタをして。
この時点でクッキングシートを敷き、生地を並べてしまい、あとは焼くだけの状態にしておけば、翌朝にかかる手間と時間が省けるので一石二鳥です。
おおよそ1.5倍ぐらいに膨らめば、2次発酵は成功です。
秋キャンプの場合
1枚羽織るとちょうど良いぐらいの肌寒い季節なら、深夜の発酵はあまり期待できません。せいぜい1.2倍ぐらいにしか膨らまない。
この場合は、もう少し早い段階で解凍を始めましょう。
お昼ごはんのタイミングで、クーラーボックスの外に出しておく感じです。
ただし、この時期の日中は、まだまだ暑さが残っていることも多く、温度管理は意外に難しい。直射日光を避けるのはもちろん、車の中など、温度上昇が激しい場所には置かないように気を付けましょう。
生地をセッティングしたダッチオーブンを焚き火のそばに置き、発酵の具合を確認しながらお酒を楽しむというのも、キャンプならではの風情を感じることができて良いものです。
膨らみが足りないようなら、就寝時に毛布でくるんでおくと、少し発酵が進みます。
いずれにせよ、生地と気温とにらめっこしながら、パンが膨らむ過程を楽しんでください。
「焼く」というよりも「高温であたためる」
朝食の1時間前ぐらいから、炭に火を起こし始めます。
下の火は弱火、蓋の上は中火というのが基本。炭の量でいえば、1対2ぐらいの感じです。長さが10cmぐらいの炭なら、下が3〜4本、上が6〜8本ぐらいかな。
「焼く」と書きましたが、感覚的には「高温であたためる」といったほうがしっくりきます。ボォーっと燃える強い火ではなく、じわりと熱を伝える感じ。
経験上、少し弱いかなと思うぐらいの方が、皮が固くならずに美味しく仕上がる確率が高いです。時間をかけて、じっくり攻めることをおすすめします。
火にかける時は、底と側面にクッキングシートを敷くのをお忘れなく!
- 焦げ付きを防ぐ
- シートを引っ張るだけで、簡単にパンを取り出せる
というメリットがあります。
パンを焼くのに、おすすめのダッチオーブンとグリル
ご紹介した材料なら、「12インチのダッチオーブン」で、ギリギリ2斤分のパンを焼くことができます。
丸パンの数が24個分。複数の家族でキャンプをする場合にも、十分な量です。
グリルはユニフレームの「ファイアグリル」がおすすめです。
造りがしっかりしているので、パンを焼いているダッチオーブンの上火を利用して、お湯を沸かすといったこともできてしまいます。
あとがき
パンへの愛情が深いせいで、思いつくままにつらつらと書いてしまいました。
要点をまとめると、
- 1次発酵まではホームベーカリーに任せよう
- 生地はカチコチに冷凍しよう
- 温度と生地の様子をみながら、2次発酵。基本は放置。
となります。
2次発酵の温度管理が少々難しく感じるかもしれません。ですが、焼き始めると少し膨らんでくるので、それほど神経質になる必要はないと思います。1.5倍に膨らめばラッキー、ぐらいなノリで全然オッケーです。
全く膨らまなかったとしても、ぼってりしたパンが完成するだけ。味自体はさほど変わりありません。それよりも焦がさないことの方が重要です。
手塩にかけて焼き上げたパンは、とても愛おしい存在ですよ。
火加減について、もっと詳しい説明は、この記事、
ちょっとチューニングを施したレシピは、この記事をご参考に!