コーヒーの味は、抽出温度によって変化します。温度が高いと苦味が強く、低いと苦味は抑えられ、酸味を強く感じるようになります。
これまで知識としては持ちつつも、あまりこだわることなく淹れてきました。
沸騰したら100℃。ドリップの準備をしている間に、だいたい90℃ぐらいになってるんじゃない、ぐらいの適当な感じで。
けれども、ある日突然、無性に正確な数字が知りたくなってしまいました。「見える化」は、基本的に大好物なのです。
というわけで、キッチン用の温度計を購入しました。
クッキング温度計|ドリテック
購入のポイント
購入したのは、ドリテックの「クッキング温度計」。
ドリテックというメーカーは、主にキッチン周りや健康に関する電化製品を製造しています。
以前にも「赤外線体温計」を購入したことがあります。
ユーザー目線に立った、親しみのあるデザインの商品を多く手がけていて、陰ながら応援しています。
見た目がシンプル
1000円以下で買えるものの中から、最も見た目が「シンプル」なものを選びました。
楽しげなカラーリングのものや、やたらと操作ボタンが付いているものはパス。経験上、キッチングッズの装飾度合いを高くすると、後悔することが分かっているので。
使わないときには、キッチンの壁にぶら下げておきます。なので主張の少ない「白色」がベストという結論に至りました。
デジタル表示&大画面
見た目以外にも、いくつか購入の決め手となったポイントがあります。
まずは「デジタル表示」であること。
こうした計測機器は、精度とともに、結果を明確に出力することは重要な性能です。見方によって数値が変わってしまっては、計測する意味がありません。
その点、デジタル表示だと、だれがどこから見ようと、同じ計測結果が得られます。
アナログ表示のものは、見た目が良くて素敵です。けれども、正確に温度を読み取る自信がないのでやめました。
あと見易さで言えば、「大画面」であることも高ポイントです。
フック穴
キッチン用の温度計の中には、こうした「フック穴」が無いものがあります。無ければ温度が測れないわけではありませんが、あるとなかなか便利です。
例えば、お箸など棒状のものを挿すことで、手や本体を火元から遠ざけることができます。安全に計測できることはもちろん、樹脂製の本体が熱で溶けるのを防ぐ効果もあります。
また先述の通り、壁に引っ掛けて収納する場合にも活躍します。
地味ですが、実は使い勝手を大きく左右するポイントです。
防滴
キッチンで使うものなのに、正式に「防滴仕様」が示されているものが少ないのは意外でした。おそらく、多くのキッチン家電がそうであるように、多少の水分がかかっても壊れることはないんでしょうね。
と言っても、ドリテックの温度計だって、所詮は「IPX2」。
「IPX2」:傾斜15°の範囲で落ちてくる水滴に対して保護されている。
ジャブジャブと丸ごと洗えるわけではありませんけどね。
先端保護キャップ
逆に「先端保護キャップ」、あるいは相当の機能が付いていない温度計は見当たりません。
先端部分は、肉をも突き刺すほどに尖っています。むき出しで収納するのは大変危険。保護するのは必然というわけです。
この温度計に付いている保護キャップは、先端のみを覆うタイプ。妻には、これがセンサーに思えたようです。付けたままお湯に突っ込んで、全然上手く測れないと不思議がっていました。
そんな方のためにも、金属部分を完全に覆う「筒」タイプの方が、フレンドリーなデザインなのかもしれません。
温度計を使って、コーヒーを淹れる
コーヒーを淹れる時に温度計を使うようになってから、次のような発見がありました。
温度が下がるのは、意外に早い
ひとつめは、想像していたよりもお湯の温度が下がるのは早いこと。特に冬場は、1分も放置すれば、ぐんぐんと低下します。
だいたい90℃ぐらいで注湯しているだろうと思っていましたが、実際には85℃まで下がっていました。この差は、コーヒの味に大きく影響します。
「注湯温度が高ければ苦味、低ければ酸味が強く出る」のは真実
ふたつめは、常識とされている方程式が真実であること。単に知識としてではなく、自分で測り、自分の舌で確認することができました。
苦味が美味しい豆も、95℃を超えるような熱湯で淹れればパンチが強すぎてしまうし、逆に酸味が特長の豆では、80℃を下回るような低い温度で淹れると、舌に嫌な感覚が残ってしまいます。
たったの1℃違うだけで、コーヒーの味は大きく変わります。
コーヒーの味をコントロールするのは、楽しい
最後は、コーヒーの味をコントロールするのはめちゃくちゃ楽しい、ということ。
例えば、朝は苦味が強めのものを飲みたいので、少し高めの温度で注湯します。逆に、少し疲れが溜まり始める15時ごろには、苦味を抑えたマイルドな口当たりのものが欲しくなるので、低めの温度で注湯する、というように。
おおかた自己満足であることは否定できませんが、何も考えずに淹れるよりも、脳への健康効果は高そうに思います。
温度計を使わずに、ハンドドリップする
余談ですが、温度計を購入する前は、手順をルーティン化することで、安定したドリップを実現していました。
- ケトルに水を入れ、火にかける
- 豆を挽く
- お湯が沸騰する(←100℃)
- お湯をカップに注ぎ、温める
- お湯をコーヒーサーバーに注ぎ、温める(←約10秒)
- フィルターをドリッパーにセットし、挽いた粉を入れる
- コーヒーサーバーに入れたお湯を、ケトルに戻す(←おそらく85〜90℃)
- ドリップを始める
沸騰したお湯は100℃。時間の経過とともに温度は下がります。
ポイントは、コーヒーサーバーに入れたお湯をケトルに戻すこと。そうすることで注湯温度が85〜90℃まで下がります。
正確な温度は別として、このルーティンをきっちり行えば、一応コーヒーの味は安定します。逆に少しズレると、途端に味の方向性が変わってしまいますが。
あとがき
コーヒーを美味しく淹れるためには、注湯温度以外にも、豆の種類や鮮度、挽き方、注湯スピードやドリッパーの材質など、多くのパラメーターを意識しなければなりません。
パラメーターは少ない方が、攻略は簡単になります。
自分好みの味を安定して引き出せるよう、温度計は揃えておくと良いですね。
ただし、もうひとつの必需品である「細口ケトル」をお持ちでなければ、温度管理がピピッと可能な、電気ケトルが良さそうです。