かれこれ10年以上使ってきた自宅のWi-Fiルーター(AirMac Extreme第2世代|Apple)ですが、ここ最近、頻繁にぷつぷつと通信が途切れるようになってしまいました。
調べてみると、こうした機器にも寿命があるようで。一般的には約5年、メーカーが考える耐用年数としても約10年というのが目安だそうです。
スマホやタブレット、子供のゲーム機など、Wi-Fiに繋げて使う端末が増えたことも影響しているのかもしれません。
通信速度に不満はなかったものの、10年振りにWi-Fiルーターを買い換えることにしました。
【2018年版】Wi-Fiルーター購入時のチェック項目
Wi-Fiルーターについては、約10年もの間、何の興味も持たずにきたものですから、全くといっていいほど知識がありません。なので色々と勉強をしました。結果、Wi-Fiルーター選びは以下の点に注目すれば良いということが分かりました。
1.通信規格は11ac
Wi-Fiルーターには、通信規格が色々とあります。
IEEE802.11aとかIEEE802.11bのように、「IEEE802.11+アルファベット」の構成で名前が付けられ、速度や使用電波帯などの違いで使い分けられています。
IEEE802.11aから基本的にはアルファベット順に推移していきました。開発および試験運用レベルでは11zまであるそうですが、民間機器としては11n、その次は11acという流れになっています。
僕が使っていたAirMac Extreme(第2世代)の通信規格はIEEE802.11n(以下11n)。現在の主流はIEEE802.11ac(11ac)です。
11nに比べて、通信速度がアップする
11nから11acに変えると、通信速度が上がります。バッファローの公式サイトによると、11nの理論値は600Mbpsで11acが6,900Mbps。単純に11.5倍もの違いがあります。
こういう理論値って、話半分に考えておいた方が良いことを経験的に知っていますが、それでも5倍以上のスピードアップが見込めるので、どう転んでも高速化は間違いなさそうです。
なので11ac以外を選ぶ理由はどこにもありません。
2.アンテナの本数、内蔵or外付け
電波を安定して送るためには、搭載されているアンテナの数が重要です。
1本のアンテナから発することのできる電波には上限があり、通信速度はアンテナの本数に比例します。つまりアンテナの数が多いほど高速な通信が可能になるわけですが、通信規格毎にアンテナの上限本数があるため、どこまでも速くなる、ということではないようです。
またアンテナには、内蔵タイプと外付けタイプがあります。
角度が調節できる外付けタイプは、使用状況に応じた電波環境を作り出すことが可能という特徴を持つ反面、ゴツく、見た目がイカつくなるデメリットがあります。設置場所の制約やインテリアを損なわないか、併せて検討しなければなりません。
3.ビームフォーミング機能は必須
何もしなければ同心円的に伝わる電波も、「ビームフォーミング」機能が搭載されていれば、端末に向かってピンポイントに電波を送ることができます。遮蔽物や距離との関係で電波が届きにくい場合に威力を発揮します。
特にスマホなど、使用場所が固定されない端末には必須の機能かと。ビームフォーミング機能が非搭載のルーターだと、家の中で電波の強弱にムラができてしまい、モバイルとしての力が十二分に発揮できなくなってしまうからです。
とはいえ、ビームフォーミングの恩恵を受けるには、端末側が対応していなければいけません。その点、iPhone/iPadシリーズは、現在販売されているモデルの全てが対応済みなので心配無用です。
他にも色々と最新の技術はありますが、基本的には上記3つの項目を押さえれば良いかと思います。あとは状況に応じて、要不要の判断をすることになります。
WSR-2533DHP|バッファロー
僕が購入したのは、バッファローの「WSR-2533DHP」というルーター。2016年に発売され、一定の評価を獲得しているコスパ優秀なハイ・ベーシックモデルです。
実は、2018年9月に新しいモデル「WSR-2533DHP2」が発売されることは分かっていました。CPU性能がアップし、データ転送力が1.5倍に増えるそうです。
けれども現状が10年前のルーターなので、新モデルを購入しても、その性能差は実感できそうにありません。十中八九、どれでも高性能に感じるはず。
だったら型落ちになって、価格が底のこのタイミングで、定評ある旧機種を買うのが良いんじゃないかという判断です。
速度検証
セットアップは、
- LANケーブルを接続
- 各端末にSSIDと新しいパスワードを入力
するだけの超簡単仕様。なので早速、速度の検証に入ります。
我が家は軽量鉄骨造2階建てで、間取りはこんな感じです。
Wi-Fiルーターを設置しているのは、1階リビングにあるテレビ台の上。上の図で言うと、Aの位置になります。配線の都合で、ここに置くのがベターな状況です。
電波が改善されることを最も期待したいのが、2階の書斎、Hの場所にあるiMac。あとはスマホやタブレットが快適に使えるか、といったところです。
計測に用いたアプリは、NETFLIX社が提供する「FAST Speed Test」。起動するだけで計測が始まり、広告も一切出ないシンプル仕様。WEBブラウザ版「fast.com」を使えば、iMacでもスマホと同じ環境で計測できるので、比較の精度が上がります。
[A]1階:ルーターから約10cm、遮蔽物無し
Wi-Fiルーターの目の前、遮るものが全く無い位置で計測した値がこの結果。左がAirMac第2世代で、右がWSR-2533DHPです。
説明するまでもなく、圧倒的に通信速度がアップしました。約7倍以上。下り、上りともに桁が1つ違っています。
条件からして、これが最大値になります。
[B]1階:ルーターから約6m、遮蔽物無し
ルーターと少し離れた位置(約6m)で計測、遮蔽物は無しのパターンです。
ほんの少しだけ速度は落ちたかのように見えますが、誤差と言っても差し支えない値。遮るものが無ければ、6mぐらいの距離はものともしない様子です。
[C]1階:ルーターから約6m、遮蔽物少しあり
今度は、ルーターとの間に若干の遮蔽物があるパターン。
うちのキッチンは対面式で、リビングとの間にカウンターと袖壁があります。この影響があるのか、距離は[B]と同じ約6mですが、若干の速度ダウンが見られました。といっても、まだまだ高速ですが。
[D]1階:ルーターから約8m、遮蔽物あり
直線距離にして約8m、間に扉が2枚あり、1階の中で最も電波が届きにくいのが脱衣所です。
扉を開けっ放しにして計測しましたが、それでも速度はガクンと低下しました。最速時と比べ、下りで30%、上りで50%ほどダウンしています。やはり電波は距離と遮蔽物に影響されるようです。
[E]2階:ルーターから約10m、遮蔽物あり
ここからはフロア違いになります。
ルーターからの直線距離は約10m。階段室をはさんで、衣服や雑貨の類が詰め込まれたクローゼットの中ということで、遮蔽物度はかなり高い。うちの中で最も条件の悪い場所での計測です。
さすがに速度は激落ちしますね。下り、上りともに70%以上の低下です。クローゼットの中にスマホを持ち込んで動画鑑賞する予定はないので問題ありませんが。
[F]2階:ルーターから約8m、遮蔽物あり
[B]の真上に当たる位置。床(1階天井)が電波を遮るためか速度は50%ほど低下しました。
子供部屋はオープンスペースになっているので、[E]クローゼットよりは遮蔽物がありません。直線距離的にも短いのに、少しだけしか電波強度が上がらないのは疑問です。
[G]2階:ルーターから約3m、遮蔽物あり
ここはルーターの真上で直線距離にして約3mと、[A]の次にルーターに近い計測ポイント。床(1階天井)に遮られているにも関わらず、最高速度に近い値を出しました。
Wi-Fiの電波は上下方向に飛びにくい性質があるそうですが、WSR-2533DHPの内蔵アンテナなら問題なさそうです。
[H]2階:ルーターから約8m、遮蔽物あり
すでに書いたとおり、ここでの通信環境の改善が最大の目的です。結果は大満足。最高速には及ばないものの、AirMac第2世代に比べ、約10倍の速度を達成しました!
これだけ通信が高速&安定していると、途中で途切れることが無くなり、ホームシェアリングも快適に使えます。
また、これまではiMacを起動後、電波をキャッチするまでに数秒かかっていたものが、立ち上げと同時にネットに繋がるようになったのは、地味に嬉しい改善です。
ちなみに上記はiPhoneSEで計測、つまり11acでの値です。我が家のiMacは古い機種なので、11nにしか対応していません。なので速度は少し遅くなります。
それでもこの値。プロバイダーとは1ギガコースの契約をしているのに速度が出なかったのは、Wi-Fiルーターがボトルネックになっていたことは明らかです。
あとがき
早く買っておけば良かった、と明るい後悔が付きものの人生ですが、Wi-Fiルーターも然りです。新製品、新規格が出るたびに急いで買い換える必要はないものの、さすがに10年間使い続けるのもどうなのか、ですね。
一般的に「Wi-Fiルーターは消耗品」とされているようです。経年で電波の飛びや安定性も、劣化していくそうです。
うちぐらいの規模なら、スタンダードモデルで十分に電波環境は良くなります。僕のように、まだ使えるけれど随分前のルーターをお使いの方には、”やんわり”とですが買い替えをおすすめします!
余談ですが、iPhoneSEで計測した値とiPad mini 4で計測した値に違いが見られました。iPad mini 4の方が高速。最高で300Mbps以上を記録しました。
調べてみると、iPhoneSEは「MIMO」という帯域を束ねて通信する方式に対応していないことが分かりました。理論値は最大で433Mbps。一方、MIMOに対応しているiPad mini 4は最大833Mbpsと、この差が出たようです。先述のチェック項目ではMIMOに触れませんでしたが、搭載されていれば効果は見込めます。