作業用のiMacを27インチモデル(2019)に買い替えたので、これまで使っていた21.5インチモデルを子供用にしました。
とは言え、我が家の子供部屋はまだほとんど機能しておらず、かろうじてベッドはあるものの、勉強机の類は一切置いていない状況です。
必要な家具は成長とともに揃えていく予定なので、とりあえずのものが無いか調査。けれども、サイズや機能、値段の面で丁度良いのが見つかりません。
このまま地べたに置いておくわけにはいかないので、自作することにしました。
構造用合板1枚で作るiMac用デスク
木材のこと
構造用合板と厚み、強度
まずは材料の選定から。
今回制作するデスクはiMac用。常時6kgほどの荷重がかかり続けることになるので、そこそこの強度が必要になります。
強度を上げるには、硬い樹種を選び、厚みを増やせばいいわけですが、やりすぎても無駄に値段が高くなり、オーバースペックになってしまいます。
そんな時の強い味方が「構造用合板」。建物の構造用主要な部分に使われる材料で、高い強度を持っています。
色々と厚みがあるなか、24mmを選択。12mm以下だと少々強度的に不安があるため、別途骨組みが必要となり、余計な手間とコストがかかります。逆に28mmほどの強度は無くても大丈夫と判断しました。
接着剤と「F☆☆☆☆(エフ・フォースター)」
合板を購入する上で注意しなければいけないのが、接着剤のこと。
「合板」は字のごとく、薄い板を幾層にも貼り合わせて作られています。一層づつ90度向きを変えることで、強度や反り、寸法安定性を確保しています。
貼り合わせに使われるのが接着剤で、中には人体に有害な物質(ホルムアルデヒド)を多く放出するものがあるため、検査機関で基準が定められています。
そうした性能区分は、合板に「F☆☆☆☆(エフ・フォースター)」のように印字されます。☆の数が多いほど、ホルムアルデヒドの発散量が少ないことを表します。
理想は、接着剤不使用の材料を使うべきですが、高価なので手が出ません。
とは言え、室内、しかも子供部屋に置く家具なので、最も低ホルムなF☆☆☆☆規格は最低限クリアしておきましょう。
木目の表情
木目の表情にも、気を使いたいところ。
構造用合板は下地に使われることが前提のため、木目というか、見た目は無視して製造されています。節がいっぱいあったり、色がくすんでいたり、粗いものががほとんど。
ですが、なかには美しい木目のものがあります。
うず高く積まれているところから探すのも一苦労ですが、できるだけ表情の良いものを選ぶことをおすすめします。
「実(さね)」は要らない
構造用合板の多くは、長辺両側に「実(さね)」加工がされています。
2枚の合板を並列に組むのに便利な凹凸ですが、今回は邪魔なので、購入時にお店で切り落としてもらうと作業が早いです。
準備
墨付け
まずは墨付けを行います。
「コンベックス」で長さを測って、印を付けます。「差し金」があれば、簡単に直角の線を引くことができるので、DIYでは必須アイテムです。
最近のお気に入りは、丸ノコのガイドとしても兼用できるこれ。かなりおすすめ。
長手方向のカットはお店、短手方向はDIY
実(さね)と同じく、長手方向のカットはホームセンターにお願いするのがベストです。お店の巨大な切断機だと、圧倒的に早く、綺麗に仕上がります。木くずの処理も少なくて済むし、持って帰るのもラクチンです。
短手方向については、「丸ノコ」を使って自分で行いました。お店に細かい指示を出すのも億劫だし、1カット当たりの料金も掛かるので。
ちなみに所有の丸ノコは入門用。
入門用でも切断は十分可能。
けれど15年以上使っていることもあって、ベース(スチール製)にゆがみが生じています。こまめに調整しないと、切り口が斜めになってしまいます。
そろそろアルミ製(できればフッ素加工)のベースのものに買い替えようか、検討中です。
サンディングで肌理(きめ)を整える
初期状態は肌理(きめ)が粗く、とてもじゃないけどデスクとしては使えたものじゃありません。よって組み立て前に、サンディングをします。
使ったのは、#120と#400の「紙やすり」。番手の数字は、大きいほど仕上がりが細かく、つるつるになります。
まずは#120の紙やすりを使って、バリやソゲなどを取り除き、表面をあらかた整えます。その後、#400に変えて仕上げに移ります。フラットな面を持つ当て木に巻くと作業がラク。
いきなり#400で仕上げるのは無理があります。凹凸はそのまま残るし、すぐに紙やすりの目が詰まってしまいます。2段階に分けることで、作業を効率良く進めることができます。
面取りも、手が当たって痛くない程度の丸みをもたすだけなら、紙やすりで十分。シャープなエッジにしたければ、「カンナ」の出番です。
サンディングをする前が左で、後が右。丁寧に磨くほど、肌理が美しくなっていきます。地味だけど、結構楽しい瞬間です。
けれど構造用合板1枚分(910mm×1820mm)の裏表を手作業でサンディングするのは、かなり疲れます。この工程だけで、半日費やすと考えておいた方が良いでしょう。そうじゃないと、心が折れて、作業が雑になってしまいます。
これだけの面積なら、できれば「電動サンダー」を使うことをおすすめします。
ビスの位置も墨付け
ビスを留める箇所も、あらかじめ墨付けを済ませておく方が綺麗に仕上がります。
とか言いながら、面倒くさい時は適当な位置に留めることも多々あります。出たとこ勝負で留めても、強度的に問題が生じるわけではありませんので。
下穴を空ける
ビスを打つ前に、必ず下穴は空けましょう。写真のようなキワに打つ場合は特にです。この作業を怠ると、かなりの確率で木割れを起こします。
下穴の径は、使用するビスの径の7割程度が目安。間違ってもビスの径より大きな穴を空けてはいけません。スッカスカになって、ビスが効かなくなってしまいます。
穴を空ける時は、下に当て木(写真の白い板)を敷くことを忘れずに。当て木を使わず、エアフリーに空けてしまうと、やはり木割れを起こす確率が高くなります。
バカ穴を空ける
最終的にダボでビス頭を隠す処理をするため、バカ穴も空けておきます。
バカ穴の径は、もちろんダボの径が基準。8mm径のダボなら、1mm小さい7mm径のドリルが最適です。
より綺麗な仕上がりを目指すなら、「埋木錐」を使うのも手です。木目の感じが揃うので、一層馴染んで見えます。
バカ穴の深さについては、深すぎると接合部の強度が弱くなるし、浅すぎるとダボが埋まりきりません。経験的な基準で恐縮ですが、板厚の3分の1程度にすると良いように思います。
組み立て
ビスで留める
バカ穴まで準備ができたら、いよいよ組み立て開始です。
使用するビスは、半ねじタイプのものを選びましょう。全ねじタイプのものだと、木材同士がくっつかず、隙間ができてしまいます。
ビス頭に突起物が付いたフレキタイプは、下穴を空ける場合は避けた方が良いです。余計な沈み込みが生まれ、強度が不足する可能性があります。しっかり締め付けるには、ラッパタイプの方が無難です。
ビスの長さは、固定する板厚の3倍が目安。今回の板厚は24mmですが、バカ穴分を差し引いて18mmとします。18mm×3=54mm。これが最低限の必要な長さ。
たまたま手元にあったビスが65mmだったので使えました。
今回はシンプルな設計にしたため、建物でいうところの「筋交い」的な横揺れ対策の部材を省いています。なので木口側には必ず木工用ボンドを塗ってください。強度が格段に上がります!
ダボでビス頭を隠す
ビスで留めた後は、バカ穴に木工用ボンドを注入し、ダボを打ち込みます。「木槌」や「ゴムハンマー」なら、誤って本体を傷めることがありません。
水性の木工ボンドは、乾くと透明になります。たっぷり注入し、たとえはみ出ても目立ちません。注入直後なら、濡らしたタオルで拭き取ることもできます。なので多めにいっときましょう。
半日もあれば乾きます。飛び出ている部分は、「手ノコ」でカットします。
手ノコは、押し付けすぎるとデスク本体を傷めてしまいます。かといって、離すとダボが残ってしまう。慣れが必要。上手くいけば、8mm径程度のダボなら、2、3回引けばカットできます。
多少残っても、紙やすりで整えれば大丈夫です。
保護剤としてエキストラクリア(オスモカラー)を塗布
オスモカラーのエキストラクリアーとは?
組み終わったら、表面保護のためにオスモカラーの「エキストラクリアー」を塗布します。我が家の定番アイテム。DIYで作った家具には、必ずこれを使います。
手垢からの汚れを保護するだけでなく、撥水効果も持たせることができます。冷たい飲み物を入れたコップを直置きしても、輪染みが付きません。
いわゆる自然塗料というやつで、植物油と植物ワックスで作られていて、人や動植物に対して全くの無害。食品と同レベルの安全性だそうです。まぁ食べませんけどね。
値段的には他の塗料よりも高価ですが、実際使ってみると、想像以上によく伸びるし、1回塗りでOKということもあって、費用対効果は劣りません。
皮膜を作らない浸透性塗料なので、経年によるめくれや剥がれは皆無。つまりメンテが不要。他に塗るものがあるなら、結果として安く上がると思います。
実際に塗ってみる
エキストラクリアーは、水のようにサラッとしたとろみ具合。サラダ油よりも粘度は低い感じ。
ウッドワックスなど着色成分の入ったものだと、はじめに混ぜ合わせる必要がありますが、エキストラクリアーは開封してすぐに使えます。
使う分量だけ、広口の入れ物に出すと作業がしやすい。食品トレーだとサッと水洗いして捨てるだけなので、片付けがラクです。
オスモカラーは浸透性の塗料なので、”塗る”というよりは“刷り込む”感じで作業を進めます。
メーカー的には刷毛で塗る方法を推奨していますが、上記の理由から、ボロ布で十分綺麗に塗ることができます。
塗った部分は、しっとり濡れたような仕上がり。透明色なので、木目の美しさが引き出されます。
木口やダボ頭など、吸い込みの激しい部分は濃くなり、そうじゃない部分は落ち着いた色合いに。木材の風合いがそのまま反映されるので、とっても自然です。
艶を出したい場合は、「ノーマルクリアー」を使いましょう。三分艶で、少し高級感がアップします。公式サイトの解説を見ると、あとから上塗りしてもOKのようです。
完成
夏場で1晩、冬場の場合は1日屋外で乾かして完成!
乾かしている時もそうですが、乾いてからも数週間はエキストラクリアーの臭いがします。けれども、頭が痛くなるような嫌な臭いではありませんのでご安心を。むしろ、ずっと続いて欲しいと思うような、素敵な香りです。僕にとっては、アロマと同じ。
市販品には、この微妙な空間に体良く収まるものがなかったので大満足です。
足元の補強材は棚板も兼ねています。材料的には余裕があるので、必要な枚数を追加しても良いですね。強度的には1枚で十分です。
21.5インチのiMacを置くとこんな感じ。
電源ケーブルが壁との間に挟まるのが気になる方は、天板の一部を切り欠くか、ケーブルホールを設けるとすっきりします。
あとがき
作業的には、
- カット:1時間
- サンディング:半日
- 墨付け・下穴空け・バカ穴空け:1時間
- オスモカラー塗布:1時間
- 乾燥:1日
合計3日以内といった感じ。
材料も、単価としては4,000円弱。すでに必要な工具が揃っている、あるいは今後もDIYで色々なものを作ろうと考えているのなら、コスパはかなり優秀です。
夏休みの自由研究に、子供と一緒に作るのも良いですね。