今回の旅のテーマは「伝統工芸を学ぶ」です。
1日目にお伺いしたのは「天神産紙(てんじんさんし)工場」。国の伝統工芸品に指定されている「大洲和紙」を、昔ながらの伝統的な技法で作り続けておられます。
今回、手すき和紙制作を体験させていただきました。
天神産紙工場

天神産紙工場は、内子町の中の「五十崎(いかざき)」地区にあります。知清公園キャンプ場からは、国道32号線の一本道。

途中、トンネルを抜けてすぐのところ。車で約4分と、めちゃくちゃご近所です。

左手前の建物は、和紙製品を販売するお店「大洲和紙会館」。半紙や障子紙など、多くの和紙が販売されています。半紙は試し書きもできるので、書き心地を選んで買うことができます。

道路を挟んだ一帯、100mほどの範囲が工場および関連施設です。

和紙の原料を煮る施設や、

水洗いをする施設など、どれもが使い込まれていて、風格を感じるものばかり。残念ながら、これら屋外にある施設は、時期的な理由で、実際に稼働している姿を見ることはできませんでした。

工場内部も昔のまま。

年季の入ったプレス機や、

細かく水質検査が行われている水槽、

構造材がむき出しの建物や、紙すきを行うための装置や治具など、工場全体が和紙を生産するために最適化されているようです。
ホースの掛けられ方に味を感じずにはいられません。

一通りの説明を受け、まずは職人さんのお手本を拝見。ササっと完成されていたので、簡単そうに見えましたが、実際やってみると難しいことが分かります。

枠いっぱいにすくった紙液は、水を含んでいることもあって結構な重量になります。それを前後左右に傾け、ゆりうごかすことで厚みを均等にするわけですが、全く上手くいきません。
ちなみに体験で使わせてもらったのは、普段、職人さんが使用しているものの半分のサイズ。それであっても、こんなにもコントロールできないものなのですね。

すきあがったら、枠から”すだれ”ごと外し、乾燥台へと移します。すだれを手前から奥へ、スッと引き剥がす作業が気持ち良い。子供達を含め、意外にも上手くできました。

乾燥にかかる時間は約30分。その間、工場内に併設されている「五十崎社中」のショールームを覗かせてもらいました。

五十崎社中は、大洲和紙とフランスの金箔技法ギルディングを組み合わせて、様々な商品を生み出しています。
ショールーム内には、アクセサリーやブックカバー、パスポートケースなどの小物から、壁紙やパネルスクリーンといったインテリアが展示販売されています。
「かわいい」よりは「かっこいい」印象で、それでいて温かみを感じるデザインに仕上げられています。写真のブルーのイヤリングを買わせていただきました。
あとがき

完成した和紙は、ムラがあって凹凸があり、形もいびつ。けれども布のように柔らかで、優しい風合いに癒されます。愛着わきますね。何に使おうかな。
紙すき体験は平日限定で予約が必要です。お仕事の合間にご指導いただくので、体験が可能かどうかの確認の意味も含め、前日までに電話をしましょう。この日も、予約をしていなかったダンディな老夫婦は断られていました。
天神産紙工場
| 住所 | 〒795-0303 愛媛県喜多郡内子町平岡甲1240-1 |
| 営業時間 | 8:30〜17:00 |
| 連絡先 | 0893-44-2002(予約含) |


